特集こどもすいた 人命救助の最前線!〔市報すいた 令和7年(2025年)10月号〕
ページ番号1040599 更新日 2025年9月30日
吹田消防のウラ側に迫る 人命救助の最前線!
24時間365日、最前線で市民の命を守る吹田消防の隊員たち。ふだんの訓練の様子など、その裏側を子供たちが学んできました。
参加者
木村柚翔さん(小6)
「将来、救急や消防の仕事に関わりたい!」
内貴陽香さん(小5)
「南千里駅のホームから見える隊員の訓練をもっと見たい!」
荻野桜さん(小6)
「どうやって、みんなの命を守っているか気になる!」
榊原蒼さん(小4)
「隊員がどんな訓練をしているか知りたい!」
吹田市総合防災センター(DRC Suita)に潜入!
Close Up さまざまな現場を想定した訓練ができる訓練棟
あらゆる火災現場を再現!
2F
密閉型の室内では、仕切りを自由に付け替えでき、さまざまな間取りを再現できる。視界が悪い現場も多いため、あえて目隠しをして、間取りも広さも分からないなか、どうホースをさばくか、救助するかなど、あらゆる状況を想定した訓練を行う。
さまざまなロープ訓練に対応
3F
内部は、壁がなく四方が開放された造り。高さ7メートル。東西に7メートル、南北に20メートルのロープを張ることができ、ロープ渡りや降下訓練を行う。訓練の様子は、阪急南千里駅のホームから見ることができる。
マンション現場の火災や救助を想定
4F
内部はワンルームマンションに見立てた間取りに。ベランダは格子タイプ、パネルタイプと異なる手すりを取り付け。火災を想定した放水訓練や、隣室からの進入救助を想定した訓練ができる。
5F
内部はファミリータイプのマンションに見立てた間取りに。ベランダは4階とは異なる腰壁タイプ。火災を想定した放水訓練や、上階のベランダから下階へ進入救助することを想定した訓練ができる。
高所救助の技術を磨く!
6F
高さ約20メートル。高所からの脱出やロープを使って要救助者を降下させるための訓練などを行う。
市民の命を守るスペシャリスト
救助隊
逃げ遅れた人などを助ける救助隊。DRC Suitaには、人命救助の専門的な教育を受けた高度救助隊も。大規模災害、化学物質の漏えいなどによる特殊災害にも対応するスペシャリスト集団です。
消防隊
火災現場で消火活動などを行う消防隊。一つとして同じ現場はなく、より迅速で的確に対応できるよう、日夜、厳しい訓練や現場の振り返りを重ねています。
北大阪消防指令センター
119番通報を受け、消防車や救急車、救助工作車などを出動させます。近隣市と共同で運用しています。
救急隊
けが人や病人のところへ行き、適切な応急処置をして病院へ運びます。
救助隊のウラ側
ロープ訓練
急な傾斜や高い建物など、足場が不安定な場所では、ロープを使って要救助者を安全に救助します。あらゆる現場を想定し、降下訓練のほか、川の対岸など離れた場所に取り残された人の救助を想定して行う渡過(ロープを渡る)訓練も。少しの判断ミスが人命に関わる厳しい現場。訓練を通して、どんな過酷な状況にも立ち向かえる精神力も養います。
気力 体力 判断力を鍛える! 障害突破訓練を見学
はしごを登り、ロープを渡り降下するまでの流れを実際に見せてもらいました。構えて、高さ7メートルのはしごを登り、7メートルのロープを渡って降下するまで、わずか20秒。日本各地から猛者が集う「全国消防救助技術大会」のロープブリッジ救出で、昨年、吹田市は全国3位に輝きました。
子供たちもロープ渡りに挑戦
ロープにぶら下がり、腕の力で少しずつ前へ。特別に滑車を付けて進みやすくしてもらったものの、慣れない動きに苦戦。隊員さんはすごい…!
多種多様な訓練を実施
さまざまな現場に対応できるよう、資機材を的確に使うための訓練や、川や池、プールなどでの水難救助を想定した潜水訓練も行っています。
救助に役立つハイテク資機材
カッター
先端がはさみになっていて、鉄の棒などとても硬い物も切ることができる優れもの。交通事故で体が挟まって動けない人がいる場合に、邪魔になっている硬い物などを切って救助できます。
スプレッダー
はさみのように先端が開閉。重さ約20キロ。交通事故で車のドアが潰れて開かなくなった時などに、すごい力でドアをこじ開け、中にいる人を救助できます。
熱画像直視装置
赤外線を利用して要救助者を検知できるサーモグラフィーカメラ。高度救助隊ならではの資機材で、火災現場など暗闇や煙の中でも要救助者を見つけ出すことができます。
消防隊のウラ側
放水訓練
火災現場では、建物の構造や風向き、要救助者がいるかなど、状況によって消火方法も使う水の量も異なるため、さまざまな放水技術を磨きます。市内は集合住宅が多く、マンションの部屋を模したフロアがある訓練棟が役立ちます。実際の現場と同じように消火栓に接続し、ホースをさばきながら消火する訓練を実施しています。訓練は救助隊とも合同で行います。
装備の重さだけで約20キロ!
防火服やヘルメット、空気呼吸器などを身に着け現場へ。空気呼吸器は、マスクを着けてボンベ内の空気を吸うことで、煙や有毒ガスから隊員を守るもの。重さ約10キロ、持続時間は約20分。夏場は熱中症対策として、アイスベストもあるため、さらに重くなります。
消火活動の際は、近くの消火栓とホースをつないで水を確保します。歩道や道路の消火栓を車や自転車で塞がないよう日頃から注意しましょう。
はしご車訓練
中高層(4階以上)の現場には、はしご車で出動。「バスケット」と呼ばれるかごに乗る人と、下で操作する人とで協力し、高所での救助や消火活動を行います。スムーズな活動には、車を停める位置取りと、バスケットの位置を調整する的確なコントロール力が重要です。市では、15メートルと40メートルのはしご車を各2台所有しています。
どうやって動かすの?
一定の高さまで上がったら、バスケット内のレバーで位置を調整。足元と手元、2か所のレバー操作が必要ですが、恐る恐る操作すると揺れたり、勢いよく操作すると動きすぎたり。日頃からの訓練がとても大切。
何人乗れるの?
バスケットの耐荷重は約200キロ。隊員の装備品が重く、バスケット内も狭いため、乗れる人数は大人2人くらい。
119番 北大阪消防指令センター
昨年4月に運用開始した同センター。豊中市、池田市、箕面市、摂津市と共同で、管轄地域からの119番通報を一括して受け付け。出動する部隊を判断し、各消防署に出動指令を行います。
(1)119番通報を受信災害種別(火災か救急)と住所を聞き取り。状況により周りの建物や、スマホのGPS情報を確認し、特定を急ぎます。
(2)出動隊の編成・指令住所と災害種別に応じ、最適な出動隊をシステムが自動で編成。直ちに出動指令を出したあと、さらに現場の状況の聞き取りを進めます。
(3)各消防署で指令受信出動まではスピードが命。指令を受けた隊員は、必要な装備を身に着けるため、出動準備室へ駆けつけます。
(4)早着替えあっという間に着替え完了。装備は毎朝、各自で着装しやすい状態に準備。靴もすぐ履けるよう、あえて出しっぱなしに。
(5)いざ、出動!通報から1~2分で出動。出動車両の端末には、指令センターで聞き取った、より詳しい現場の情報が表示され、効率的な現場活動に生かされます。消防隊や救急隊と一緒に出動することもあります。
共同運用になって何が変わったの?
現場到着までの時間が短縮
吹田市の隊が出動できない時や現場が市境の際、これまでは近隣市に電話で応援要請をしていました。現在は、システムが自動的に近隣市も含めた最適な隊を判断し指令を出すため、出動までの時間がグンと短く!
出動時の支援がより手厚く
吹田市内の現場に他市から出動してもらう場合、土地勘などが十分でないことも。共同運用では同じシステムを使っているため、吹田市の指令センター員が必要な情報やアドバイスなどを打ち込み、他市の応援職員と共有することが可能に。
映像で現場を確認
各市内に設置された定点カメラ映像。通報を受けると、自動的に該当地域のカメラに切り替わり、火災や災害の確認に役立ちます。
隊員の生活スペースに潜入!
24時間勤務の隊員たちが過ごす生活スペースも見学してきました。
トレーニングルーム
筋力づくりに欠かせないマシンがたくさん
市民の命を守るため、日々たゆまぬ努力を重ねています。
お風呂・洗濯
入浴時間はわずか5分!
すぐに出動できるよう、入浴時間はわずか。浴槽は、5人ぐらいは入れる大きなもの。週末は隊員が掃除しています。
実は一番働いている?フル稼働の洗濯機!
ランニングしながら出勤したり、出動や筋トレで汗をかいたりするので、5台ある洗濯機はいつもフル稼働。
食堂
忙しい勤務の中の楽しみは食事!
お弁当を持参する人、食材を持ち込んで自分で調理する人、それぞれ。冷蔵庫や調理家電は複数台用意されています。
仮眠室
仮眠室は隊ごと!
仕切りのついた半個室の造り。仮眠中に出動要請が入ると、スピーカーから指令が流れ、出動する隊の部屋だけ電気がつきます。即座に起床し、日中と変わらず、迅速に出動します。
女性隊員も活躍中
電子ロックで施錠されている女性専用スペースは、入り口付近に監視カメラがついていて、セキュリティは万全。スペース内には仮眠室、お風呂、トイレ、洗濯機を完備。
気になるコト、聞いてみた!
Q.胸の階級章の違いは?
A.吹田市の場合、最上位の消防正監(消防長)から消防士まで、8階級あります。階級章は消防士は黒色の部分が多く、階級が上がると金色になり、星の数も変わります。(山田 消防長)
Q.オフの日の過ごし方は?
A.ランニングなど体づくりを頑張っています!犬の散歩でリフレッシュも。(高度救助隊 片岡 隊員)
Q.オフの時もつい出てしまう仕事の癖は?
A.家族と車に乗っていて右折するとき、つい「右後方よし」と言ってしまいます。家族にはびっくりされます。(消防隊 宮本 隊員)
Q.女性隊員も男性隊員と同じ訓練をするの?
A.もちろん同じです。男性隊員に負けないよう自主トレも習慣的にしています。(救急隊 釜崎 隊員)
見学を終えて
木村さん
指令センターでは、119番通報に迅速に対応する工夫がたくさんありました。救急や消防への興味がより強くなりました
内貴さん
隊員のみなさんが日々の訓練を頑張っているので、まちが守られているんだなと感じました
荻野さん
出動要請がない時は体力づくりをしていると知り、陰ですごく努力しているんだなと思いました
榊原さん
はしご車で5階くらいの高さまで上がり、操作もできたことが一番楽しかったです