特集こどもすいた 万博ってミライだ!〔市報すいた 令和6年(2024年)10月号〕
ページ番号1036479 更新日 2024年9月30日
大阪・関西万博を来年に控え、万博の話題をよく耳にするけれど、そもそも万博ってどんなイベントなんだろう。
いまや生活に身近な電気自動車や動く歩道なども、実は万博をきっかけに普及したもの。そんな豆知識や吹田市の千里丘陵で開催された1970年大阪万博にもふれながら、過去の万博を振り返り、これから開かれる万博をどのように楽しめばよいのかを、こども記者と取材してきました。
Made in EXPO’70 ~大阪万博で広まったもの~
本場の味を再現 ヨーグルト
ブルガリア館に本場のヨーグルトがあると明治乳業のスタッフが聞きつけ、会場で試食したことが開発のきっかけに。翌年の1971年、日本初のプレーンヨーグルトが発売された。
永井 隆仁記者(小学4年生)
いつも食べているものも万博で生まれたんだ
食文化の国際化 ファストフード、ファミリーレストラン
アメリカンパーク内にケンタッキーフライドチキンが実験的に出店。これに続いて、同年には名古屋に1号店がオープンした。また、翌年にはマクドナルドなども国内出店、チェーン展開がなされていった。
渡邊 紬葵記者(小学5年生)
ファミレスも、ロイヤルが出店したのをきっかけに広まったんだって
ここから全国に普及した 動く歩道
日本に初上陸したのは1967年の阪急梅田駅。大阪万博の会場内で導入されたことで全国に普及した。最先端の移動手段で来場者を驚かせた。
平山 千里記者(小学4年生)
駅や空港などでもよく見かけるね
携帯電話の祖先 ワイヤレステレホン
来場者が手に取って操作でき、日本全国どこへでも通話することができた。展示された電電公社(現NTT)のパビリオン・電気通信館には約60万人が来場した。
岸本 莉奈記者(小学6年生)
こんな昔からあったなんて驚き
いつでもどこでも味わえるように 缶コーヒー
UCCの創業者が列車の駅で瓶入りコーヒーを飲んだ際に、瓶の返却が不便と考え「もっと手軽に飲めるように」と、持ち運びできる缶コーヒーをひらめき、1969年に販売開始。翌年、大阪万博会場で取り扱われたことをきっかけにヒット。
桑原 尚希記者(小学4年生)
たくさんの人に味わってもらうための工夫が詰まっているんだ
アジア初の1970年大阪万博 歴史とトリビア
万博のこれまでの歩みなどについて、万博記念公園内にあるEXPO'70パビリオンを巡りながら、吹田市立博物館学芸員の藤田 裕介さんに話を聞きました。
そもそも万博ってなに?
一説には、古代エジプトやペルシアの王が財宝などを展示していたのが博覧会の起源ともいわれています。それが今では万博(万国博覧会)として、地球規模の問題への取り組みや、人々の生活が便利になる新しい技術などを紹介する場になっています。
起源
かつて財宝や芸術品を披露して権威を示す場があった
初の万博 1851年ロンドンにて
産業革命発祥の地・イギリスで、最新技術を披露する場として開催
数年おきに世界各地で開催
第一次世界大戦後には、バラバラになった国々を一つにするためにテーマを持った万博が開始。現在は平和の象徴として、世界各国の対話の場に
アジア初の万博が吹田市で開かれた?
1970年に日本初・アジア初の開催となる日本万国博覧会(大阪万博)が吹田市で開かれました。
実は、それまでにも日本で万博を開催しようとする動きはあったのですが、経費の問題や戦争の影響などで、いずれも中止に。その後、東京オリンピックの開催、経済の発展もあり、万博開催に向けた機運が再び高まります。そして、複数の候補地の中から千里丘陵での開催が実現しました。ちなみに戦争の影響で幻に終わった「紀元2600年記念万博」の入場券は、大阪万博でも使用が認められていました。
太陽の塔の顔、実は2代目って知ってた?
現在、太陽の塔の最上部に取り付けられている「黄金の顔」は、実は大阪万博当時に飾られていたものではありません。初代は鋼板約340枚を組み合わせて製作されたものでしたが、風雨による劣化のため、1992年にステンレス製の2代目に交換されました。
そして、初代「黄金の顔」は補修完了後に、このEXPO'70パビリオンの別館内に展示されることになりました。
大阪万博といえば…
1970年大阪万博のテーマ館の一部として芸術家の岡本 太郎さんが作った太陽の塔。
塔の中には高さ約41メートルの「生命の樹」があり、樹の幹や枝には、大小さまざまな292体の生物模型群が取り付けられ、アメーバなどの原生生物から爬虫類、恐竜、そして人類に至るまでの生命の進化の過程を表していました。
どんなパビリオンがあったの?
大阪万博には、国内外合わせて116のパビリオンが出展されました。万博のパビリオンは、原則、閉幕後に解体・撤去されますが、中には全国各地に移築されて残っているものもあります。このEXPO'70パビリオンもその一つで、もともとは鉄鋼館というパビリオンだったんです。
一部のパビリオンを紹介
アメリカ館
アポロ12号が持ち帰った「月の石」が展示され、多くの人が来場しました
フジパン・ロボット館
複数のロボットによる演奏や踊りの展示が人気で、子供たちでにぎわいました
数字で見る大阪万博
当時の日本人の半数以上が訪れた計算に! 入場者数 6421万8770人(うち訪日外国人約120万人)
一般家庭も外国人を自宅に泊めた?
さまざまな国の人が訪れたので宿泊施設が足りず、近郊の一般家庭が民宿として外国人を受け入れました。一般家庭からの応募を募りましたが、条件として◇家族の誰かが英語を話せる、◇水洗便所・浴室・電話がある、◇トーストやコーヒーなどの朝食を準備できるなど、応募のハードルが高かったようです。また、民宿提供者には日本万国博覧会協会から感謝状が贈呈されました。
広ーい会場で、はぐれる子供が続出 迷い子の数 4万8139人
迷い子ワッペンのおかげで無事に保護者と再会
入場時、保護者と子供に同じ番号のついたワッペンを配付。迷子になった際に、その番号をもとに照会して会場内に複数ある案内所で保護者と引き合わせていました。こうした番号で照会する仕組みは、その後の大型イベントなどでも活用されました。
市内の下水道も一気に発達 トイレの数 2755個
大勢の来場者に対応するべく多数設置。それに見合った下水処理能力が必要になったため、当時千里ニュータウンだけだった下水道の整備が一気に進みました。そのほかにも、道路・鉄道などのインフラは万博を機に広まったといわれています。
Information
EXPO’70パビリオン
〒565-0826千里万博公園(万博記念公園内) 電話06-6877-7387
開館時間
午前10時~午後5時。入館は午後4時30分まで
休館日
毎週水曜日(万博記念公園に準ずる)
入館料
高校生以上500円。中学生以下無料。
※別途、公園への入園料(大人260円。小中学生80円)が必要。
1970年にアジアで初開催された大阪万博の記念館。当時の「鉄鋼館」パビリオンを活用し、約3000点もの万博の遺産を公開しています。
もうすぐ出逢える新しいミライ 大阪・関西万博
万博は世界中の人が集まり、さまざまな課題に取り組む場でもあります。来年の大阪・関西万博で、万博国際交流プログラム(大阪・関西万博を契機に、国際交流による地域活性化を図るため、万博参加国と全国の自治体が交流するプログラム)の吹田市の相手国となる、スイスのパビリオンを例に紹介します。
スイス領事館の人たちに話を聞きました
スイスってどんな国?パビリオンではどんなミライと出逢える?
アルプス山脈に囲まれた自然豊かな国スイスは、限られた資源を最大限に活用すべく、技術の教育・研究に力を注ぎ発展してきました。スイス人はスポーツでもアートでも頑張ることが好き。「できないと思うことを可能にしたい」というスピリットを持っています。パビリオンでスイスのイノベーションを体感してください。
イノベーション大国スイスの次世代の建築技術 もっとも軽くエコなパビリオン?
球体が集まってできたパビリオンは、過去のスイスパビリオンの中で最軽量。世界の資源不足が地球規模の課題として叫ばれる中、資源節約のため、パビリオンは軽く、リサイクルできる素材を採用することに。外側がETFEというとても軽いフッ素系プラスチックで覆われた球体は空気でふくらむ構造で、軽量鉄骨と組み合わせることで形状を維持しています。外装はすべてリサイクル可能で、万博終了後はパビリオンもその部品も、別の用途で再利用される予定です。
軽さを表現したシャボン玉モチーフのパビリオンは、光を通す美しいデザイン。ガーデンでは、サプライズな仕掛けも
球体の中はどんな空間?
切り絵アート
スイスのイノベーションの元となる文化や価値観など社会背景が描かれています。隠れハイジも
夢を共有すると…!?
訪れた人が未来の夢を話すと、水がシャボン玉のようなアートに変化
ミライを予測
25年後の世界はどうなっている?「人間拡張」「生命」「地球」の3つのテーマを通して紹介。テーマは2か月ごとに切り替え
ハイジに出会えるかも
パビリオン屋上部の「ハイジカフェ」では、スイスの名産であるチーズやワインなど、選りすぐりの地域料理で来場者をおもてなし。ハイジが登場することもあるそう
Information
在大阪スイス領事館
〒530-0003大阪市北区堂島1-1-5 電話06-7777-2546 メールアドレスjapan@swissnex.org
期間中は科学技術やアートなどの展示を行います。万博会場を訪れる機会がない人もスイスのイノベーションを体感できます。日本とスイスは今年で国交樹立160周年!
こども記者が考える 想像するミライと実現のアイデア
大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」をもとに、どんなミライになってほしいか、そのミライを実現するためにはどんなものがあったらいいかを、こども記者と一緒に考えてみました。
渡邊記者が考える
想像するミライ
目が見えない人でも気軽に歩ける未来
実現のアイデア
しゃべってくれる白杖
「前から人が来ています」「信号が青になりました」など、お知らせしてくれる杖です。
桑原記者が考える
想像するミライ
二酸化炭素0で脱・地球温暖化な未来
実現のアイデア
二酸化炭素吸収ハンディファン
下部から二酸化炭素を吸収して、内部でエネルギーを変換して発電。
岸本記者が考える
想像するミライ
たくさんの人が健康な未来
実現のアイデア
プラスチックと燃えるごみ自動分別ごみ箱
プラスチックを燃やすと、がん発症など人体に悪影響を及ぼすダイオキシンが発生する。自動で分別することで有害物質の発生を防ぎ、みんなが健康に!
永井記者が考える
想像するミライ
人がいけないところまで救助にいける未来
実現のアイデア
遠隔操作の救助ロボット
後部からロボットの中にも入れる。内部はやわらかい素材。足部分はタイヤにもなる。
平山記者が考える
想像するミライ
捨てられるものを寄付し人の命を救える未来
実現のアイデア
食べ物に手足と心をつけると貧しい人のもとへ歩いていく「歩食」
行き先を伝えると戦場でもどこでも3分で到着します。
注意事項 食べる前に「ありがとう」と言ってから食べること。言わないと、かたくなるぞ!
取材を終えて
スイスと日本は国交樹立160年と、とても長い関係があることに驚きました。これからの万博は未来にどんな影響を与えるのだろうと、わくわくします。(岸本記者)
大阪万博の入場者数の多さに驚きました。当時の日本人の半数以上!万博で広まったものも想像以上に多くてびっくりしました。(桑原記者)
大阪万博の話を聞いたり展示を見たりして、当時の様子がまるで目に浮かぶようでした。私がふだん食べているファストフードも万博で広まったと知って驚きです。(渡邊記者)
スイス領事館の方から環境に負担をかけないことの大切さを聞き、私も環境に負担をかけない生活をしたいと思います。(平山記者)
スイス人は自然が好きなので、スイスパビリオンの周りには植物がいっぱいと聞いて納得。パビリオンは軽く、リサイクルしやすい素材で、環境にも気を遣っていることが分かりました。(永井記者)