がんばっているあの子の様子に気付いたら〔市報すいた 令和6年(2024年)11月号〕

ページ番号1036785 更新日 2024年10月31日

 「ヤングケアラー」という言葉を聞いたことはありますか。勉強に励む時間、部活動に打ち込む時間、友人との他愛ない時間、将来の自立に向けた時間などを持つ代わりに家事や家族の世話を担っている子供・若者がいます。周りの人が気付き、声をかけるなどして、つながりを持つことで「自分は一人じゃない」「誰かに頼ってもいいんだ」と思えるまちを、みんなで作っていきませんか。

◆問い合わせ/家庭児童相談室(出口町 電話6384-1472 ファックス6384-1175)

ヤングケアラーってどんな人のこと?

 ヤングケアラーとは、家族の介護、その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子供・若者とされています。たとえば、家族の身体的・精神的なケア、きょうだいの世話、家族のための労働など、さまざまな役割を担っています。

こんなケースが挙げられます

  • 障がいや病気のある家族に代わり、買い物・料理・掃除・送迎などの家事をしている
  • 家族に代わり、幼いきょうだいの世話をしている
  • 障がいや病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている
  • 目を離せない家族の見守りや声かけなどの気づかいをしている
  • 日本語が第一言語でない家族や障がいのある家族のために通訳をしている
  • 家計を支えるために労働をして、障がいや病気のある家族を助けている
  • アルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族に対応している
  • がん・難病・精神疾患など慢性的な病気の家族の看病をしている
  • 障がいや病気のある家族の身の回りの世話をしている
  • 障がいや病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている

Q 家族の「ケア」と「お手伝い」はなにが違うの?

A 家事や買い物と聞くと、お手伝いと一緒だと感じる人もいるかもしれません。ここでいうケアは、年齢や成長段階に見合わない負担・責任を負い、日常生活や学業、将来設計に支障が出ているかどうかということです。
 子供の年齢や成長段階に見合ったお手伝いは、思いやりや責任感を育みます。

Q どうしたら気付いてあげられる?

A 学校がある時間帯に家にいる、遅刻・欠席・忘れ物が多い、授業中に居眠りをする、生活のためにアルバイトをするなどの姿が見られる場合、ヤングケアラーの可能性があります。周りの子供で「もしかしたら」と気付くことがあれば、見守り、必要に応じて相談窓口へ連絡してください。

Q 生活にはどんな影響が出るの?

A 人にもよりますが、自分の時間が取れない、勉強する時間が充分に取れない、ケアについて話せる人がいなくて孤独を感じる、ストレスを感じる、友人と遊ぶことができないというヤングケアラーは少なくありません。また、睡眠不足や栄養不足のほか、うつ状態になる場合もあります。

Q 家事や世話に長い時間をかけている子供はどれくらいいるの?

A (1)「あなたは家族のお世話をしていますか」の問いに対して「している」と回答した小学生は、約32.2パーセント。
(2)(1)で「している」と回答した人のうち、お世話にかかる時間が「3時間以上」と回答した小学生は、約5.2パーセント。
令和4年度に市立小中学校に通う小学5年生と中学2年生、その保護者を対象に実施した「子供の生活状況調査」より

この調査で得られた回答は、家事や世話に時間をかける子供たちや、潜在的に支援を必要としている子供たちがいることを示しています。

気になることがあれば まずは相談を

 市では、「子供の生活状況調査」や厚生労働省が実施した同種の調査研究結果から、支援を必要としている子供・若者や、その家族を対象にした相談窓口を設置しています。周囲の大人からの相談にも応じます。

家事・育児などの相談なら

家庭児童相談室

◆対象/18歳未満の子供と保護者

電話6384-1472

メールアドレスko-home@city.suita.osaka.jp

子供・若者のさまざまな相談なら

ぷらっとるーむ吹田

◆対象/39歳以下の子供・若者と家族

電話6816-8534=月曜日~土曜日午前10時~午後8時

メールアドレスplatroomsuita@city.suita.osaka.jp

不登校や学習など教育関係の相談なら

教育センター(教育相談ダイヤル)

◆対象/3~18歳の子供とその保護者

電話6170-1579=月曜日~金曜日午前9時~午後5時、第3日曜日午前9時~午後5時

相談員の声

めざすのは何でも話せて頼りたくなる存在

 日常的に家族のお世話などをしていて、なかなか相談できず、一人で悩みを抱えていませんか。 家族のこと、自分の悩みや不安を話すのは勇気のいることですが、一人で抱え込まないで、お話を聞かせてください。 

 相談の回数を重ねて、関係性を築くことができた相談者からは「話をするだけでも気持ちが軽くなった」という感想をいただくことも。 より多くの子供たちとこうした関係を築き、「ひとりじゃないんだ」「人に頼っていいんだ」と思ってもらえるよう、まずはあなたの気持ちに寄り添い、尊重しながら、お話を伺っています。

(家庭児童相談室 コーディネーター)

当事者の声

相談したら気持ちが軽くなった

 親が病気になって、家族の食事や弟妹の世話などをしながら学校に通っていました。助けを求めると世話をしている自分を否定してしまう気になる、他人に家の中を見られるのを避けたいなど、いろんな感情が入り混じって、なかなか相談できずにいました。

 そんな思いを学校の先生と話す中で、相談窓口を紹介してもらい、徐々に相談できるようになっていくと、肯定的に受け止めてもらったり、状況を整理してもらったりして、気が楽になった面があり、今では相談して良かったと思っています。

(高校生、Sさん)

ヤングケアラー支援ガイドラインを作成しました

 ヤングケアラーを適切な支援につなげるためには、関係機関・団体などが個別に機能するだけでなく、お互いの業務を理解したうえで連携して取り組むことが重要です。 同ガイドラインは、ヤングケアラーを早期発見し必要な支援につなげていくため、関係機関や関係者の共通認識を深めることを目的に作成しました。

主な内容

  • 相談先と、さまざまな関係機関の役割
  • 支援の在り方や視点、留意点(本人や家族の意思に注目することなど)
  • 相談窓口や支援につながるまでのフローチャート
  • 相談や支援に関わる人向けの、気付きのツールやアセスメントツールの紹介

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