令和5年8月市報すいた 市長コラム「つながる命」

ページ番号1028846 更新日 2023年7月26日

 第二次世界大戦時の特攻隊の話です。
 厳しい訓練を経て戦闘機乗りになった隊員たち。当時トップレベルの性能を持つ疾風(はやて)という戦闘機に2人交互で乗務することになり、厳しく高度な飛行訓練を重ねました。その1人が鹿児島県出身の堀之内(ほりのうち)幸男(さちお)、16歳。ひときわ小柄な少年飛行兵でした。ある日、彼らに特攻命令が下ります。乗務順に従って先に敵艦隊へと飛び立った彼の相棒は、そのまま帰らぬ人になりました。
 堀之内少年は、自身に特攻命令が下る前に終戦を迎え、その後、大阪で警察業務に就き90年の人生を全うしました。もし乗務順が逆であったなら、彼の人生は16歳で終わっていたことでしょう。「もしもあのとき」という非情な運命の分かれ目に何百万人もの人が立たされる、それが戦争です。
 堀之内少年があのとき戦死していたら、ジャルジャル後藤はこの世に存在していませんでした。堀之内少年は彼の祖父だったのです。少年少女たちの数え切れない命を奪った戦争は、その命がつないだに違いない未来、すなわち私たちの「今」をも奪ったのです。
 今も世界で繰り返される戦争に、そして好戦的な人々の存在に、「人類の進歩と調和」という半世紀前の大阪万博のテーマが人類永遠の命題として響くのです。奪われた数多くの命に「もしもあのとき」と思いを巡らせる8月が今年もやってきました。

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