市長コラム「こもれび通り」

ページ番号1018790

令和7年5月号

わたしに限って

 風邪をひきました。今なら素直に認めます。
 鼻の奥に違和感を覚えた3日前。それが喉まで下りてきて「ん?」となった2日前。それくらいでは、まだ風邪だなんて認めません。
 昨日になって咳と鼻水が出始め、体もダルく、誰がどう見ても風邪ですが、私はまだ否定します。「風邪って?いやいや、それはないわ」と。そして今日。はい、これは明らかに風邪です。栄養をとっておとなしく寝ておくことにします。
 人は異常事態が起こった際に「いやいや、自分に限ってそんなことはないわ、大丈夫や」とすぐには自分ごとにせず平静を保とうとします。それを心理学では「正常性バイアス」と言います。
 地震の際に津波警報が出ているにもかかわらず「そんな大きな津波は来ないだろう」と思い込んだり、集中豪雨の際に「ここに何十年も住んでいるけど、この川が氾濫するのは見たことがない」と楽観視したりする事例を聞いたことはありませんか。このような災害時の正常性バイアスは、避難の遅れにつながります。
 風邪を認めようとしない気持ちも正常性バイアスのせいかもしれない、もっと初期の段階で認めて安静にしておけばよかった、と反省しつつ、それでも「ま、明日には劇的に回復してるやろ」と根拠もないのに思ってしまう私です。

これまでのこもれび通り

ご意見をお聞かせください

このページに問題点はありましたか?(複数回答可)