市長コラム「こもれび通り」
ページ番号1018790
令和6年4月号
整える
近頃「整える」という言葉をよく聞きます。「リフレッシュ」と似た意味で使われますが、そこまでアクティブな意味合いではなく、心と身体(からだ)を少しばかり健全な状態に戻す、という穏やかな表現です。
心と身体、そして社会的にも満たされた状態を示す「ウェルビーイング(Well-being)」という言葉も、簡単に言ってしまうと「整える」なのでしょう。
ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司(まえのたかし)教授は、人がどんな時に幸せを感じるか分析しました。そして4つの言葉にたどりつきました。「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」。この4つの因子がバランスよく満たされていれば、人は幸せになれる。すなわち「夢や目標を持ち、人とのつながりを持って思いやりと感謝を大切にし、ポジティブに、自分らしく生きている人が幸せ」ということです。
さて、日々これらの「幸せ因子」を意識して前向きに過ごしたいものですが、人生に失敗はつきものです。その時にどう考えるか。将棋の藤井聡太(ふじいそうた)竜王・名人は言います。「ひとつミスをした時、逆転するための最善手は何か。それを打ち込む力と覚悟というのが本当の実力だと思っています」「すべての局面で正解を指そうと考えるのではなく、どうしたら局面のバランスを保てるかを考えています」「将棋を指す限り勝敗はついてまわるので、一喜一憂してもしょうがないと考えています」
つい乱れそうになる心をどう整えるか、希代の勝負師の心構えから学ばされます。
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