市民公益活動審議会 答申 第3章

ページ番号1007070 更新日 2022年9月21日

第3章 市民公益活動促進のためのその他の環境整備

1.市並びに市民、企業、市民公益活動団体及び市民公益活動を行う者の相互間の連携及び交流に関すること

(1)市民公益活動団体と行政、企業、市民をつなぐ仲介機関の必要性

市民公益活動の多くは規模が小さいが、それぞれが独自の専門性を持っている。しかし、人的な交流や、活動への参加、情報の交換などの点で行政や企業と十分連携を図れているとは言い難い。
また、ボランティアを必要としている団体と、ボランティア活動に参加したいと考えている市民との連携の推進を日常的、継続的な活動として取り組めているところも少ない。
このような市民公益活動団体が企業や市民の支援者との連携・協働を進める上では「仲介機関」としての拠点の存在が重要である。
市民公益活動団体も、その支援者も、ともに多種多様に存在する中では、市民公益活動団体がボランティアや寄附などの形で市民や企業などの支援者を得る(支援者の側からすると、支援先を見つける)ことは、一種の「パートナー探し」と言える。
この時、「仲介機関」がなければ、それぞれの活動団体や支援者は、個別に情報を集めたり、働きかけたりするために多くのエネルギーが必要となる。
一方、活動団体と支援者を結ぶ「仲介機関」が、双方の情報を収集し、共有を図ることによって、両者の協働は効率化が図られる。
また、今後、行政の事業委託などを進める際にも、行政の情報公開を進め、行政と市民公益活動の仲介に当たる拠点が必要である。
このように仲介を専門に担う組織があれば、それぞれに個性的な要求を持ったものが、わずかなエネルギーを使うだけで、お互いの最適なパートナーをさがすことができる。

(2)市民公益活動団体と企業などの連携・交流について

市民公益活動団体と企業においては、すぐに資金的な支援要請が連想されるが、これでは対等なパートナーシップとは言いがたい。企業の開発するバリアフリー商品の設計に市民公益活動団体がタイアップすることや、そうして開発された企業の商品の普及を市民公益活動団体としても応援するといった方法も模索すべきであろう。
また、ボランティア休暇の活用に加えて、企業人を市民公益活動団体の役職員に出向かせる仕組みや、退職者を採用する仕組みを整備するといったことも考えられる。特にボランティア休暇制度については、制度はあっても活用が少ないことが多い。休暇制度だけでなく、市民公益活動に関する情報が企業内で紹介されるなどの取り組みが並行してなされなければならない。
そのためにも、(仮称)市民公益活動支援センターを設置し、市並びに市民、企業、市民公益活動団体及び市民公益活動を行う者が連携し交流できる機関として運用していく必要がある。

2.大学等と市民公益活動の関係

吹田市の特徴のひとつに大阪大学、関西大学、大阪学院大学、千里金蘭大学、国立民族学博物館など学術研究機関が多いことがあげられ、公開講座の開催、大学祭での施設開放、大学生による学校授業等のボランティアプログラム、市民と留学生の交流プログラムなど、大学等と地域・市民との交流が行われている。そこで、この大学等がもつ豊富な人材・技術・施設などを活かして、市民・企業・市民公益活動団体・大学等・行政のネットワーク化を進めていくことが市民公益活動の促進のため重要である。
大学は、社会的背景の変化に伴い、地域の産業振興や文化振興など地域に必要とされる大学へ変身しようとしている。また、地域の政策や産業振興などに参画することで、地域に支えられた大学の実現が課題となっている。そのためには、今後、大学が地域と交流を通じて貢献していく必要があり、さらに、大学の社会貢献の一形態として、産官学連携の推進も一層求められている。
市民公益活動を行なう者の問題形成や政策立案の能力を高めるためにも、大学などとの交流を通じて専門的な知識や技術、人的ネットワークなどを活用していくことが必要である。また、これに加えて市在住の現役専門家や各分野で活躍した専門家等の専門的知識や経験を活用することも考えられる。

3.市民公益活動に関する情報の収集及び提供に関すること

冊子やホームページによる団体紹介や市報すいたによる団体が開催する事業の紹介など実施しているが、特に積極的に外部からの支援を受けようとする市民公益活動団体の場合、活動情報を公開することで、支援を受けやすくなる仕組みの創設が必要である。具体的には、ボランティアや支援者募集を行うには、規約や活動実績、収支予算、決算などを公開する仕組みが考えられる。なお、この情報提供にあたっては、「市報」等を活用し、市民公益活動団体の情報発信の場とすることも考えられるが、支援センターが担うことで、正確な情報の収集、提供は重要な事業となり、情報の発信の場とすることでより大きな効果があげられる。
また、市民公益活動団体のクライアントは市民であるという認識からすれば、活動内容に関わる情報を積極的に市民に開示する必要がある。ましてや、行政から、直接、間接を問わず、市民の税金である公的資金、あるいはその他の公的資源の提供を市民公益活動団体が受けるに当たり、その活動内容、および活動成果を、積極的、かつ広く説明する説明責任(アカウンタビリティ)が社会から強く求められていることはいうまでもない。そういった説明責任のまっとうを通じ、活動の公益性が社会から担保されるものと思われる。
そのためにも、例えばホームページに活動状況をわかりやすく、かつ丁寧に掲載し続ける、活動ニュースを定期的に発行し続ける、広く市民対象の活動報告会を定期的に開催するなど、いかにして、より多くの人々に、その活動内容や成果を伝える努力をするかが問われているといえる。
なお、行政も、元来、行政情報は市民共有の財産であるとの認識に立ち、個人情報保護の原則を守りつつ、市民との情報の共有化に向けたシステムを整備することが必要である。

4.市民公益活動を行う者の能力の向上に関すること

当初は個人として自発的にボランティア活動に参加していた人の中には、活動を続ける中で、永続的な社会貢献の組織をつくる活動を担おうとする人もでてくる。意識的な活動目的を持ち、経験を積み重ねることにより、独立した意志と責任を担える組織体になっていく。そうなると、その組織体は社会的な力を持ち、大きく社会に貢献していくことができるのである。
そのためにも市民公益活動を行う者の能力に応じた研修が必要となってくる。吹田市では、すでに市民向けの生涯学習講座などで、市民公益活動の促進に資する講座等も実施されているが、これも各部局で行われているのが実情である。このため、各分野で個々の活動を横断的に支える専門的な直接的な中間支援組織の必要性については、吹田市「市民公益活動協働促進研究会」報告書(平成14年3月)で述べており、支援センターに委ねるとして、研修は大きく分けて、市民公益活動に対する理解、認識を深めるための啓発と、市民公益活動団体自身が力をつけるためのものが考えられる。

(1)市民を対象に啓発講座

市民自治、市民分権などについての理解を得られるような講座、市民が市民公益活動に参加し、社会改革の主体となるための講座

(2)市民公益活動団体を対象にする研修

  • 交流イベント…交流会(部門別、課題別に問題解決型の交流)
  • 先進事例の見学
  • 市民公益活動団体の力の向上を図る…企画、プレゼンテーション、財務、パソコン、労務など

(3)行政と市民公益活動団体による研究

行政と市民公益活動団体の協働によるコーディネーター養成システムの研究など

5.市民公益活動促進のための行政組織体制と職員改革

行政自身が解決すべき課題としては、従来の行政の仕組みが、行政の役割を強く期待する見方が一般的であった中、それに応えようと、ともすれば「行政主導型」になったことから、市民公益活動の特性を活かした協働関係を構築するためのシステムが整備されていないことがあげられる。各部局による市民公益活動との連携や協働の促進を、全庁的な視野に立って調整推進する組織を構築することが緊急の課題である。しかも、「市民公益活動の特性を活かした協働施策」は全部局に共通する課題である性格上、その組織は市長直轄部局とすることが求められる。
「市民公益活動の特性を活かした協働施策」は新しい考え方によるものであり、行政職員の中にはまだ市民公益活動に対する理解が浅い場合がある。しかも市民公益活動の特性を活かした協働施策を具体的に実行するのは各部局の個々の行政職員である。
従来の「行政主導型」の場合、行政に対する市民公益活動団体の態度は要求ないし批判となる場合が多く、そうした体験が重なると、行政職員の中には市民公益活動に対する不信感を持つものさえ出てくる。また、行政の行動原理を一方的に市民公益活動団体に押し付けるようなことも起こりかねず、それでは市民公益活動の特性を活かした協働施策を実行できなくなる。その意味で、市民公益活動団体と施策を進める行政職員に対する研修の充実も重要な課題となっている。

6.公共施設の利用についての課題・今後の方向性

市民公益活動団体にとって、市の各地域にある既存の施設、設備が安価に使用できる状況があると市民公益活動は活性化されやすいと考えられる。実際に、現在活動中の市民公益活動団体の中には市民会館やコミュニティセンターなどの既存施設を日常の活動、作業、会議の場として利用しているものも多く見られる。
しかし、吹田市内には地域ごとに多くの市の施設があるが、福祉、国際交流、生涯学習など個別の目的のためのものが多く、利用対象団体が決められていたりして、市民公益活動団体が活動するにあたって利用しにくい実態がある。
このことは、平成12年(2000年)「市民活動と行政の協働に関する調査」の結果からも分かるように、

  • 施設の設置目的の違いから利用できる団体や利用料の減免対象団体が限定されている。
  • 会議室などを予約開始が遅すぎて、数か月先の活動の場を確保することができず、市民公益活動を恒常的・定期的に行なうことを困難にしている。
  • バザー等有料の講演会が「営利活動」扱いされ、利用料が高くなったり、利用を断られたりする。
  • 利用料金も施設により、無料の団体、半額の団体とまちまちである。

などといった点が、活動拠点についての悩みとしてあげられている。
市民公益活動団体がさらに使いやすくするためには「いつでも、どこでも行政の施設を利用できること」を基本にして、施設の受付方法や使用ルールの統一化を進めていく必要がある。さらに「営利活動」の基準を明確にし、有料非営利事業の場合でも、その団体の目的や活動内容により使用料減額の考慮の対象とすることが必要である。行政の担当部署が違うことにより市民が施設利用などの情報を得ることに格差があってはならない。行政内の部署を超えて、市民が利用可能な施設や機器類などを明らかにし、利用に当たり統一した基準づくりが必要である。

7.後援・共催の推進

市民公益活動を活性化するためにも、市の共催事業は、積極的に市民に参画を求めるとともに、企画段階から市民が参画できるようにすることが必要である。また、後援についても、できる限り多様な公益性を認め、積極的に後援を行うことが必要である。今後、後援、共催事業を推進していくことは重要である。

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