令和2年(2020年)2月 施政方針

ページ番号1008330 更新日 2022年9月21日

市議会2月定例会の冒頭で、市長は市政運営に対する基本的な姿勢・理念を示す施政方針を表明しました。

はじめに

令和2年度の一般会計予算をはじめとする各議案の御審議をお願いするに当たり、お時間を頂戴し、市政運営に対する基本的な姿勢・理念を述べさせていただきます。

いよいよ令和2年度に本市は市制施行80周年を迎えます。昭和15年、人口6万人余りでスタートした本市は、昭和30年代後半から高度経済成長期を通じて、立地上の特長から、大量の住宅供給地となり、昭和50年には人口30万人を超える大規模な基礎自治体となりました。その後、34万人程度で安定していた本市の人口は、ここ数年、再び大きな増加を示し、37万人を超えるまでになりました。

現在、我が国の多くの自治体においては、人口減少による都市機能の低下が見られ、その結果、更に人口が流出する、という負のスパイラルが起こっています。対して、本市では、利便性と快適性に恵まれ、好循環と呼べる状況が続いています。私たちは他に例の少ない「人口減少社会における人口集中都市」を運営するという、困難な課題に向き合っているとも言えます。

このような状況だからこそ、人権が尊重され、全ての市民が幸せに暮らし続けられるようにお支えするため、私たちが常に意識しなければならないことがあります。それは、あらゆる英知を結集して謙虚に課題解決する姿勢と、将来世代の幸せを損なわない中長期的な視点、そして、豊かさも負担も全体で共有する精神を失わないことです。
民主的に行政判断を重ねることを常に意識し、第4次総合計画を指針として、市政運営に取り組んでまいります。

振り返り

さて、令和元年は、本市に幾度となく全国的な注目が集まりました。誇らしいことは、本市出身の吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞されたことです。その原点は、小学校で担任の先生から勧められた一冊の本であった、とのお話をされています。このエピソードから、私たちは、幼少期の教育がその後の人生に及ぼす力を再認識しました。3月には、母校の第一中学校で特別授業を行っていただけるとのことです。子供たちにとって生涯記憶に残る時間になることでしょう。

これまで本市の教育は高いレベルを保ってきました。
しかし残念ながら、いじめの重大事案が発生しました。その反省に立って、教育現場を支援する様々な方策を「すいたGRE・EN(グリーン)スクールプロジェクト」として、教育委員会と連携して進めているところです。

事態が重大化した要因は、組織が内包する脆弱性と、それに密接に関連する属人的要素があります。現在の学校組織では、多様化する教育ニーズに対して、体制が十分とは言えません。
より良い教育環境、教育条件を維持発展させていくために、教育委員会と密に連携して、現場を支える取組を強化してまいります。

昨年、我が国で開催されたラグビーワールドカップ。日本代表は高い結束力により、史上初のベスト8入りを果たしました。そのチームの中心的存在である堀江翔太選手の姿勢は、チームメイトのみならず、多くの人の心を打ちました。その堀江選手も吹田ラグビースクールに通っていた吹田っ子です。

私は、吉野さん、堀江さんの原点となる少年時代の体験が、決して特別なものだとは思いません。お二人の功績や活躍を目の当たりにし、私たち大人には、子供たちの未来を輝かせるための、原点となる体験を支える役割があることを強く感じます。
教育・文化・スポーツ環境の充実、そして、子育て世帯へのサポート強化など、様々な面から子供たちの健やかな成長を支援していきます。

平成30年、令和元年と続けて、我が国の多くの地域が自然災害に見舞われ、本市も地震と台風による大きな被害を受けました。減災への意識を高める取組、防災のための準備、対策、また、地域住民が自主的に行う活動の組織化などを、より一層進める必要があることを再認識いたしました。

引き続き、自助・共助・公助それぞれの強化を進めるため、自主防災組織への支援の充実を図るとともに、消防庁舎の整備、消防体制広域化による消防力の強化、中核市災害相互応援協定による連携を通じ、危機管理体制の一層の強靭化に取り組みます。

令和2年度を迎えるに当たって

今年はいよいよオリンピック・パラリンピックが、さらに来年は関西を中心にワールドマスターズゲームズが開催されるなど、全国的にスポーツに対する機運が高まっています。これをチャンスと捉え、総合運動場のリニューアルをはじめとした、スポーツ環境の充実を図り、あらゆる世代がスポーツに親しめるまちを目指します。

市制施行80周年を迎える、この節目の年は、中核市への移行や、市内各地で展開する重要なまちづくり事業の着手元年として、本市の歴史に残る年になることは間違いありません。
80周年を機に、市の魅力を様々な手法で発信していきます。4月5日の記念式典では、本市出身のヴァイオリニスト葉加瀬太郎さん作曲の楽曲が披露されます。このほかにも、今年から開催する、すいたフェスタでのイベントの実施など、様々な記念事業を通じて、まちへの愛着をより深めていただく1年としてまいります。

中核市への移行に伴い、保健所の設置による保健衛生分野の充実をはじめ、地域特性に応じた屋外広告物の規制・誘導、産業廃棄物の許認可など、大阪府からの権限移譲により、行政サービスの効率化・迅速化が可能となります。

これらにより、市民生活の変化が、即座に実感されるわけではありませんが、新たな権限を存分に生かし、きめ細かで高度なサービスを提供することにより、市民の皆さんにとってより身近なところで生命・財産をお守りする施策を進めてまいります。

本市の誇るべき取組のひとつとして、健康・医療施策の推進があります。その中心に位置づけられるのは、昨年のG20開催時に、各国の保健大臣などの視察により、その存在を世界にお伝えした健都です。いよいよここを核として、国立循環器病研究センター、国立健康・栄養研究所をはじめとした産学官民の連携により新たな健康づくりサービスを創出するなど、健康への意識を変え、新しいライフスタイルを創造するための仕組みづくりを進めます。

また、令和2年度は、健都ライブラリーの開館、メイシアターのリニューアルオープンも予定しています。生涯学習や文化芸術の分野においても、市民活動を支える環境づくりに一層、努めてまいります。

独自の取組

冒頭に触れたとおり、私は、現在の市民はもちろんのこと、将来の市民に対しても、どのように責任を果たさなければならないのかを常に考えています。

効果が表れるのがかなり先になるような中長期的な事業に、責任を持って取り組む姿勢を大切にします。その多くは、実現困難とされてきた課題への挑戦です。市内全域にある、積年の難課題に、新しい発想で向き合うことに、今、改めて、取り組み始めました。

代表的な事業を挙げます。佐井寺西地区での、市施行の土地区画整理事業、長年歩行者が危険を感じてきた、上の川周辺のまちづくり、三ツ辻の道路空間の改善、狭あいな千里丘朝日が丘線の拡幅、江坂駅北側へのエレベーター設置、竹見台・桃山台近隣センターの再整備、坂の多い千里山地区へのコミュニティバスの運行、北千里小学校跡地複合施設の整備を含む北千里駅周辺の再整備、市北部の消防力の強化。
全てが目新しい取組というわけではありませんが、市民生活に直結する大変重要なものであり、先送りすることなく、積極的に施策を進めてまいります。

本市での暮らしや文化が、これからも豊かさを保つには、他市との競争や差別化ではなく、あらゆる行政分野で連携の可能性を追求し、エリア全体で持続可能な社会システムを構築することが必要です。それは合併や一部事務組合という従来の自治手法にとらわれない、信頼に基づく新しい形の連携共同体を形成する新たなチャレンジの先にあると考えます。

令和2年度からは全国60の中核市による緊密な連携の輪に加わることとなります。今年1月には、府県を越えて連なる4市「NATS」の取組として、シンポジウムを開催し、市長同士で有意義な議論を交わしたところです。今後の実務的な取組に注目をしていただきたいと思います。

電力調達における再生可能エネルギー比率向上について、本市公共施設の取組が「吹田方式」というネーミングにより全国に紹介されました。次は広く市民の皆さんにも拡大することにより、将来の地球環境に配慮する社会づくりをリードするという、自治体の社会的責任を果たしてまいります。

保育所の利用においては、多くの待機児童を発生させた時期がありました。その解消のため、様々な手段を講じ懸命に取り組んだ結果、現在はピーク時の約1/10の数に激減させることができました。これからも、必要な事業に適切に投資を行い、課題の早期解決を図ってまいります。

未来に向かって

最後に、本市のかじ取りを担う決意を述べます。

本市には他市に無い強みがあります。20年以上の歳月を経て実現した健都や、半世紀前のニュータウン開発、万国博覧会の開催、充実した公共交通網、道路や公園の整備、上下水道のインフラ、区画整理事業、良質な教育、きめ細かな福祉、先進的な環境政策、文化・スポーツを継続して支える地域力、NPO活動などの充実。
これら全てが総合的な強みを生み出し、本市が魅力あふれる高質な都市として、評価が高まっていることは明らかです。

いずれをとってみても一朝一夕で実現できるものではありません。これらを創り、育み、改革を重ねつつ保ち続け、強靭な市の礎を築いてきた、これまでの市政、先人を誇りに思います。
その基盤の上で実現した好循環を持続、そして加速するため、市長として、また、このまちを愛する一人の市民として、議会の皆様とともに、健全で民主的な市政を運営していく決意でございます。

以上、令和2年度に向けた私の基本的な姿勢を申し述べさせていただきました。議員の皆様と力を合わせて市政の推進に尽力させていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げまして、施政方針の表明とさせていただきます。

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