市の特産・吹田くわい
ページ番号1034220 更新日 2025年1月31日
※2月2日(日曜)に開催を予定していた「吹田くわいふるさとまつり2025」の延期が決定いたしました。
詳細はイベントページをご覧ください。
吹田くわいとは
吹田市の名産、伝統野菜の「吹田くわい」をご存知でしょうか。
くわいは芽が出ることから「めでたい」縁起の良い食べ物として、お正月のおせち料理やお雑煮によく使われます。
「吹田くわい」は、一般的なくわいより小粒で、甘味のあるのが特徴で、一度食べると忘れられない味わいがあるといわれています。
流通用が少ないため、聞いたことはあるけど、見たことや食べたことがない人も多いかと思います。実は「なにわの伝統野菜」にも認定されている非常に希少な野菜です。
昔は川辺や田んぼに自然のまま生えており、江戸時代から明治維新まで200年近くの間、京都御所へ献上されていたほどの野菜です。
普通のくわいと違って、日本の「オモダカ」が成長・進化したのが「吹田くわい」。植物分類学者の牧野富太郎博士が明らかにして、吹田原産という意味の"suitensis(スイテンシス)"という名前を入れた学名が付けられました。
田んぼの宅地開発や除草剤の影響で減少しましたが、「吹田くわい保存会」や農家、市民のみなさんの努力で、少しずつ栽培量も増えてきました。
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【冊子】吹田名産 吹田慈姑(吹田くわい) (PDF 2.1MB)
吹田くわいの紹介冊子です。
吹田くわいの生態
吹田くわいは水生植物で、沼地や田んぼなどで育ち、茎は角張った中空のパイプ状で水を大量に吸い上げます。水がなくなるとすぐに葉が枯れるので、常に大量の水を必要とします。葉は上方が尖り、下方が二つに分岐して尖っている矢鏃(やじり)型です。成長すると20cmの大きさになります。
初夏の頃に葉のついている茎とは別に下部から花茎が伸びてきて、上方に三つに分岐し可憐な白い花を咲かせます。上部が雄花で下部は雌花で上方から花粉を落とし、自家受粉で種子を作ります。雄花の芯は黄色、雌花の芯は緑色で共に花びらは三弁です。緑色の球形の玉ができ、熟してくると茶色に変色し崩れ散って大量の種子が落下するので、落下する直前に採取すると多量の種子が得られます。
地下茎は根部から十数本が地下に伸び、秋になるとその先端がふくらんで塊茎を作ります。一株から10~15個程度の塊茎が収穫できます。塊茎の先に角のような芽がつきます。この塊茎と角が一般にイメージされる吹田くわいです。その姿から「お芽出たい野菜」、地下茎の先に多くの塊茎をつけることから「子孫繁栄」など、縁起食材として重宝されてきました。
一般のくわいに比べると、吹田くわいは味がほっくりとしていて濃く、独特のほろ苦さの中にうまみがあり、「一度食べたら忘れられない味わいがある。」と言われるほどです。また、栄養学的にも蛋白質、糖質、リン、カルシウム、カリウム等良質の豊富な成分が含まれています。




吹田くわいの歴史
吹田の水と吹田くわい
吹田くわいの先祖は洪積世の昔から何万年も日本全国の水辺に自生していたオモダカです。オモダカが肥沃な土地で何千年も繁殖を繰り返している中で、地下の塊茎が次第に進化し吹田くわいを作り上げたのです。
特に田んぼは吹田くわいにとって、非常に育ちやすい場所であったためたくさん生えていました。吹田市がまだ吹田村であった頃、吹田の南の地域は神崎川、糸田川、高川などの川に囲まれているうえに、千里丘陵の地下水があふれていました。吹田の3名水といわれた「泉殿宮(いづどのぐう)の湧き水」「垂水神社の滝」「佐井の清水」などの味が良く、たくさんの養分を含んだきれいな水が吹田くわいを育ててくれたのです。(現在、泉殿宮では湧水していません。)
書物に見る吹田くわいの歴史
吹田くわいの記録が見つかるのは今から300年前の元禄14年(1701年)、岡田渓志の「攝陽群談(せつようぐんだん)」という案内書です。その後、貝原益軒の「大和本草(やまとほんそう)」、寺島良安の「和漢三才図絵」、小野蘭山の「本草綱目啓蒙(ほんそうこうもくけいもう)」、岩崎灌園の「本草図譜」など、著名な本草学者の著書に記載され、「吹田くわいは苦みがなく、甘みがあり、栗のような味がする。」と一様に述べられています。
江戸時代の食通としても有名な狂歌師、蜀山人(太田南畝)は銅座役人として大坂に滞在していた年の体験を江戸に帰ってから思い出として、大坂での一番おいしかった食べ物を「思い出る 鱧の骨切りすり流し 吹田くわいに天王寺蕪」と歌っているほどです。
吹田くわいの学術研究
吹田くわいは、以前は中国原産の普通くわい(青くわい、白くわい)の一種と考えられていましたが、日本の植物分類学の父と呼ばれた牧野富太郎博士によって、昭和10年(1935年)に発表した論文の中で吹田くわいに学名を名付けられました。これにより、吹田くわいが昔中国から輸入された一般のくわいの一品種ではなく、オモダカが日本の肥沃な土地で成長進化したもので、吹田原産であることを明確にされました。
和名 | 学名 |
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オモダカ | Sagittaria trifolia L. var typica Makino |
普通くわい | Sagittaria trifolia L. var sinensis(中国に産する) Makino |
吹田くわい | Sagittaria trifolia L. var typica Makino forma suitensis(吹田に産する) Makino |
昭和40年(1965年)には、当時京都大学農学部教授の阪本寧男氏が、吹田くわいは元々栽培されたものではなく、野生と栽培の中間の、世界でも数種しか発見されていない「半栽培植物」として伝わってきた歴史を持つ大変貴重な植物であることを提唱され、遺伝学研究上、世界的な注目を浴びました。
御所へ献上されていた吹田くわい
吹田南部の糸田川から東の部分は、仙洞御所(上皇)の御料地に指定されており、天保名細帳には吹田くわいを毎年春に京都御所に献上したとの記録が載せられています。その味の良さから、本御所(天皇)、女御御所(皇后)、大宮御所(皇太后)、も希望され、大名駕篭を模した献上駕篭に吹田くわいをのせ、庄屋、年寄り、大百姓らがつき従いました。
この献上行列が街道を行くと高禄の大名も道を譲ったという程、吹田くわいには権威がありました。この献上行列が天保3年(1683年)から明治維新まで200年近く続いたのは、その味が最高で素晴らしいものであった証拠と言えます。



吹田くわいの栽培方法
種芋(塊茎)から植え付ける場合(家庭園芸として)
植え付けは3月末から6月の初めまでが適当な時期です。
肥料が直接塊茎に接触していると発芽しにくいため、有機肥料をバケツ等の容器の底に入れ、容器の1/5位までの土でかき混ぜます。
次に土を容器の7分目位まで入れて塊茎の芽を上にして植えます。
更に土で3cm程覆い、深水にならないよう土から1cm位水を注ぎます。成長するには太陽と水と肥料の三要素が必要です。日当たりのよい場所に置き、水を絶やさないようにします。追肥は8月以降に少し与えます。
夏には白い花が咲きます。10月頃に葉が枯れだしたら水を張る必要はなく土が湿っていれば十分です。
12月にはバケツをひっくり返して、土の中から吹田くわいを収穫します。

種子から植え付ける場合
種芋の植え付けと同じ要領で土を準備し、水を加えたときに浮いてこないように上からかける土を多めにして軽く押さえます。植える時期は塊茎より1カ月程早くします。古い種子ほど発芽率が低くなるため、新しいものを使用する。発芽するとはじめは普通の細い草状で、10~20cmになると矢鏃型に変わります。

吹田くわい普及啓発の取組
吹田くわいバケツ栽培里親募集
阪急南千里駅前公共広場(まるたす広場)にて、吹田くわいの植え付け体験を実施します。植え付けた吹田くわいは、持ち帰り、各家庭で栽培してください。
2024年5月19日(日曜日)1回目:10時~10時45分 2回目:11時~11時45分
※申込必要
吹田くわい料理教室
千里金蘭大学にて、吹田くわいの料理教室を開催します。なにわの伝統野菜である吹田くわいを使って雑煮などを作ります。
2024年12月8日(日曜日)午後1時~午後4時まで
※申込必要
吹田市内郵便局で吹田くわい栽培
吹田市と日本郵便株式会社(市内郵便局)が2023年9月に締結した包括連携協定に基づく取組の一つで、市内の32郵便局で吹田くわいを栽培しています。栽培農園が少なく希少な吹田くわいを、地域の方の身近な存在である郵便局で栽培し、成長過程を見守ってもらうことで吹田くわいの普及・啓発につなげます。本取組は吹田市認知症カフェ交流会の協力のもと実施しています。

吹田市認知症カフェ交流会が芽出し、植え付けをした吹田くわいが郵便局へ届けられました。
吹田くわい成長記録
吹田くわいの成長過程を写真で紹介しています。
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このページに関するお問い合わせ
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