スモークフリーフェスタ実施報告

ページ番号1026348 更新日 2023年4月5日

概要

名称

スモークフリーフェスタ

~スモークフリーシティ(たばこの煙のないまち)をめざして~

開催日時

令和5年(2023年)2月5日(日曜)午後2時から午後4時まで

会場

国立循環器病研究センター 3階講堂

開催主体

<主体>

  • 吹田市

<共催>

  • 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター
  • 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所

 

当日プログラム

プログラム

講演内容

講演名:「禁煙したいのにできない遺伝子?」

講師:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 理事長 中村 祐輔氏

内容

研究内容
  • 個人の外見や性格の違いといった特徴は、「~体質」や「~家系」という言葉で表現されることがある。そういった特徴について、「遺伝子の違い」という点から解析を行っている。
  • 遺伝子の違い(=多様性)についての研究を行うことで、病気との関連性を調べ、健康を守るために役立てることができる。
禁煙が難しい体質もある
  • 「お酒に弱い体質」というのがあるが、これはアルコールを分解する酵素の違いよるもので、遺伝子の情報の違いにより起こる。
  • たばこをやめるのが難しい人についても同様。心の強さという問題ではないため、
  • 禁煙できない人への叱責ではなく、家族やパートナーからの励ましが大切。
禁煙治療について
  • 禁煙補助薬の種類には、「ニコチンパッチ」「ニコチンガム」「バレニクリン(飲み薬)」などがある。
  • 禁煙治療をするとおよそ2人に1人が禁煙に成功している。
遺伝子の多様性について
  • 様々なものが遺伝子の違いによって影響を受けているが、遺伝子の違いが差別に繋がらないよう、十分心掛けなければならない。
  • 日本では、みんな同じだから平等であるべきという教育をしているが、本来は、「みんな違っていても平等であるべき」というのが正しい。みんな違っていることを認め合い、かつ、互いに尊厳を認め合う教育をすべきである。

 

講演名:「心臓と脳を守るために」

講師:国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 理事長 大津 欣也氏

内容:

我が国の死亡原因において循環器病が占める割合
  • 我が国の死亡原因の上位四位は、がん(27.4%)、心疾患(15.3%)、老衰(8.0%)、脳血管疾患(7.9%)となっている。(2018年)
  • 心疾患と脳血管疾患を足した割合は23.2%であり、循環器病は、がんに次ぐ最大の死亡原因と言える。
  • 年代別に見ると、循環器病は高齢者の死因の第一位である。(2019年)
  • 平均寿命と健康寿命の差を縮めることは今の日本の大きな課題の一つであるが、介護が必要となる主たる原因において循環器病は20.6%を占め、最大の原因となっている。(2019年)

 ⇒循環器疾患の克服は、国民が幸せで健やかな生活を送るために非常に大切。

循環器病とは
  • 循環器病の種類には、冠動脈疾患、大動脈疾患、脳卒中などがあるが、いずれも動脈硬化によって起こる病気である。
  • 動脈硬化とは、動脈の老化現象であり、動脈が硬く、もろくなってしまうことである。
循環器病になりやすい人(疾病リスクの高い人)とは
  • 循環器病発症の危険因子として、生活習慣病、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、メタボリック症候群、心房細動などが挙げられる。中でも生活習慣病は、不適切な生活習慣(食べ過ぎ・塩分過多・脂質過多・アルコール過多・運動不足・喫煙)によって引き起こされるが、特に喫煙は、血管を痛め、動脈硬化を進行させるため、循環器病のリスクを高める。
循環器病は、予防が最も大切
  • 循環器病が発症した後だと、現在の医療では脳や心臓の細胞を再生させることはできないため、循環器病が発生しないように予防することが最も大事である。生活習慣の改善という点では、吹田市は学校給食に、おいしい減塩食「かるしお」を取り入れているため、塩分摂取量の低下が期待できる。
吹田研究(1989年~)及び吹田研究NEXT(2021年~)による結果
  • 男性は喫煙もメタボリックシンドロームもほぼ同じくらい循環器病発症への影響力がある。女性はメタボリックシンドロームの人が喫煙すると循環器病発症リスクが極めて高くなる。
  • 通常は、食物繊維摂取量や果物の摂取量が多いと循環器病にかかりにくくなるが、喫煙習慣がある場合は、摂取量を多くしても循環器病発症リスクはほぼ低下しない。
禁煙の効果
  • 喫煙者は非喫煙者に比べ生存率が低下するが、禁煙するとその低下割合が改善する。(2004年)
  • 禁煙により、糖尿病患者の死亡リスクが減少する。(2015年)
  • 禁煙により、脳卒中・くも膜下出血・脳梗塞の発症リスクが減少する。(2004年)
循環器病を予防するエビデンスに基づく生活習慣のポイント
  • Lifelong Health Support 10 を守って生活してほしい。

 (身体活動量を増やす、適正飲酒を守る、あぶら物や間食を控える、塩分を控える、毎日大豆製品を摂る、食物繊維を増やす、毎食野菜・毎日果実を摂る、毎日魚を摂る、適正体重を維持する、禁煙、受動喫煙を避ける)

まとめ
  • たばこは嗜好品ではない。喫煙習慣の本質=ニコチン依存症である。
  • 喫煙者の70%はニコチン依存症であり、喫煙は治療により完治しうる慢性疾患である。
  • 循環器病ががんと大きく違うのは、多くの循環器病は予防ができるという点。
  • ぜひ、生活習慣の改善や禁煙を進めてほしい。喫煙は、周りの人にも健康被害を与えるため、禁煙をすることは周りの人に対する愛とも言うことができる。

 

 

パネルディスカッション

概要

近年、社会全体の健康意識の向上にともない、喫煙に対する考え方が変化してきています。また令和2年4月には健康増進法が改正され、全国的なたばこ対策の強化が図られ、スモークフリーシティ(たばこの煙のないまち)の実現を目指す本市においても、今後一層の取組の推進が必要とされています。

本パネルディスカッションは、今後のたばこ対策をテーマに、循環器病の制圧を目指す国立循環器病研究センター、国民の健康寿命の延伸を目指す医薬基盤・健康・栄養研究所及び従業員の禁煙推進等について先駆的な取組を進める株式会社ダスキンからパネリストを招き、最新の医学的エビデンスや企業のたばこ対策に係る取組事例をもとに、本市における今後のたばこ対策について検討を行うことを目的に実施しました。

主な意見

事業所での禁煙促進

  • 個人の意思による禁煙には限界があるため、環境づくりという点からも、会社全体で禁煙に向けて取り組んでいくことは重要である。
  • 従業員の禁煙は企業の経営にとってもプラスになるという観点からも、事業者の禁煙推進は国全体で取り組むべき課題である。

未成年者への教育

  • 禁煙はもちろん大事だが、たばこは吸い始めるとやめるのが難しいため、最初からたばこを吸わないように未成年者に教育をしていくことが非常に重要。
  • 小学校の頃から、たばこの有害性や、他者への思いやりの心(周りの人に受動喫煙をさせないことなど)について、教育を強化していくのがよい。

社会全体での環境づくり

  • たばこを吸いにくい環境を社会で作っていくことが、喫煙する人の数を少なくしていくうえでは大切。
  • 自律的にたばこをやめられる人もいるが、やめたいと思っていてもやめられない人もいる。吹田市は、単に規制によりたばこを吸わせないようにするのではなく、たばこを吸いにくい環境づくりに力を入れており、喫煙者に自然とたばこをやめようかなと思ってもらうことで、喫煙者数の減少を目指している。

当日の様子

パネルディスカッション

参加者からの声

  • 講演の感想として、「たばこの有害性が理解できた」「具体的で分かりやすく難しいテーマなのによく分かった」というたばこの健康影響に関する意見のほか、「依存症は意志が弱いのではなく病気であることが分かった」「家族に喫煙者がいるので今日の話を伝えて禁煙させたい」など、周囲の喫煙者に対する理解や禁煙の応援をしていこうとする意見も多く見られました。
  • 禁煙啓発ポスター表彰式も多くの方の興味を惹き、「子供のうちから関心を持っていることに驚いた」「嬉しい気持ちになった」となどの感想がありました。
  • パネルディスカッションでは、吹田市の取組を伝えることはもちろん、株式会社ダスキンの取組についても理事長から「事業者のたばこ対策は重要な取組である」と言葉を頂き、アンケートにも「ダスキンの具体的な取組が素晴らしいと思った」などの感想がありました。また、未成年者へのたばこを吸わせない教育がいかに大切であるかについて活発な議論が起こり、参加者からも「これからの子供たちのためにも健康教育が大事とよく理解できた」「親は子供の前でタバコを吸わないことが大事」との気付きの声が多くありました。

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このページに関するお問い合わせ

健康医療部 健康まちづくり室
〒564-0072 大阪府吹田市出口町19番3号(吹田市保健所内)
電話番号: 【総務・健都・健康づくり・DH・企画担当】06-6384-2614
ファクス番号:06-6339-2058
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