大阪大学と吹田市水道部が共同実施した市民アンケートの研究結果がElsevier社の「Futures」で掲載!(2025年12月2日提供)
ページ番号1041477 更新日 2026年1月6日
水道部企画室(電話:06-6384-1253)
1 概要
大阪大学大学院工学研究科(大阪府吹田市)と吹田市水道部が令和4年度に共同実施した「吹田市の持続可能な水道事業の実現に向けた市民アンケート調査」の研究結果が、令和7年10月4日にElsevier社が発行する未来や予測などに関する学術研究を扱う国際学術誌「Futures」に掲載されました。
この「Futures」には、未来の課題に関連するさまざまな研究成果が掲載されており、関連分野の世界中の研究者や実践者が参照していることから、日本が抱える水道インフラ維持管理問題に対するフューチャー・デザイン※1の実践事例が掲載されることは非常に大きな意味があります。
※1フューチャー・デザイン
将来世代に持続可能な社会を引き継ぐための様々な社会の仕組みのデザインと実践のこと。
2 研究の背景
社会基盤の根幹となる水道インフラの更新や維持管理の問題は、世代間の関係性や利害対立にも関わる長期的課題であり、現世代の利益だけでなく将来世代の利益も踏まえて長期的観点からの評価・検討が重要です。このような背景から、世代間の関係性を明示的に考慮した、新たな意思決定と合意形成のための方法論が求められています。
この課題に対処するための新たなアプローチとして、フューチャー・デザインの研究が進んでいます。特に、将来世代の視点で意思決定を考察する「仮想将来世代」と呼ばれる仕組みは、人が本来持つとされる近視眼的な判断を制御し、長期的観点からの思考や意思決定を促すうえで有効であることが、経済実験、フィールド実験、実践を通じて示されてきました。本研究では、フューチャー・デザインの考え方を応用し、仮想将来世代の視点で施策を考察・評価することが、水道インフラの更新・維持管理施策に対する水道利用者としての市民の意識に与える影響を調査しました。
3 大阪大学大学院工学研究科と吹田市水道部の連携
大阪大学大学院工学研究科と吹田市水道部は、「大阪大学と吹田市との連携協力に関する基本協定書※2」及び「吹田市水道部と大阪大学大学院工学研究科附属フューチャーイノベーションセンターとの連携研究・教育に係る確認書※3」に基づき、フューチャー・デザインに関する取組を連携して推進しています。本研究はこれらに基づいて実施されています。
※2 大阪大学と吹田市との連携協力に関する基本協定書
文化、教育、産業、まちづくり等の分野において、両者の発展と充実に寄与し、地域連携を積極的に推進することを目的に締結(平成16年10月1日締結)。
※3 吹田市水道部と大阪大学大学院工学研究科附属フューチャーイノベーションセンターとの連携研究・教育に係る確認書
※2に基づき、持続可能な水道事業の実現のための「フューチャー・デザイン」研究・教育を推進し、水道事業に関わる諸課題に連携して取り組むことを目的に締結。(令和4年6月1日締結)
4 市民アンケート調査の概要
無作為抽出した18~79歳の吹田市民を対象に調査を実施しました。設問内容及び回答内容は、個人属性に関する設問と、水道事業や今後の施策に関する設問を現世代の視点から回答してもらった後、フューチャー・デザインと仮想将来世代の説明文を回答者に読んでもらい、“2050年の仮想将来世代の視点”から、再び各設問に回答してもらいました。
5 研究成果
仮想将来世代の視点を取り入れると、水道インフラの更新・維持管理に向けた施策に対する賛否や水道料金値上げ賛否などについて、水道利用者(市民)の意識に変化が生じました。
本研究の結果から、仮想将来世代の視点を取り入れることは、世代間利害対立を伴う水道インフラの更新や維持管理のための長期計画と合意形成に資する、一つの有効なアプローチとなりうることを示唆していると大阪大学大学院工学研究科の原圭史郎教授は述べています。