女と男のいきいきライフ No.36
LGB と T ~性的指向と性自認
女と男のいきいきライフは市民スタッフと協働し、編集しました。
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みなさんは「LGBT」という言葉を知っていますか。ここ数年、新聞やニュースなどでこの言葉を耳にすることも多いのではないでしょうか。
LGBTは、性的指向(LGB)と性自認(T)という異なる概念で形成された言葉です。
性的指向とは、恋愛・性愛がどの性別を対象とするかを表す概念です。これは、自分の意志で選び取るというより、多くの場合は思春期に気付くものです。具体的には、その人の恋愛・性愛の対象が異性に向かう異性愛者、同性にその対象が向かう同性愛者であるレズビアン(L)やゲイ(G)、男女両方に向かう両性愛者であるバイセクシュアル(B)などがあります。
また、性自認とは自分の性をどのように認識しているのかを示す概念です。
LGBT(性的マイノリティ)
性的マイノリティを表す言葉のひとつとして、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を並べたものです。
L レズビアン(Lesbian)
女性の同性愛者【こころの性が女性で恋愛対象も女性】
G ゲイ(Gay)
男性の同性愛者【こころの性が男性で恋愛対象も男性】
B バイセクシュアル(Bisexual)
両性愛者【恋愛対象が女性にも男性にも向いている人】
T トランスジェンダー(Transgender)
こころの性とからだの性との不一致
性的マイノリティには、LGBT以外にも、男女どちらにも恋愛感情を抱かない人や自分自身の性を決められない・わからない人など、さまざまな人びとがいます。
LGBTを含む性的マイノリティの割合
全国の20~59歳、約7万人を対象に行ったインターネット調査によれば、対象者に占めるLGBTの人口は7.6%になる調査結果がでています。
出典:電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2015」
「こころ」と「からだ」の不一致 トランスジェンダー
こころの性とからだの性が一致しないために自分の性に違和感を感じるトランスジェンダー(T)。
トランスジェンダーの悩みの1つとして、外出先でのトイレの利用があります。こころの性と異なる性別のトイレを利用することに苦痛を感じる人や、髪形や服装の見た目だけを合わせた場合、女性用、男性用どちらのトイレに入ればいいのか困る人もいます。多目的トイレを利用するときでも、人の目が気になる人もいます。
また、更衣室や旅行先での入浴、アンケートの性別の記入など、日常生活での悩みは尽きません。
性同一性障害
トランスジェンダーという言葉の意味するところと似ている言葉に性同一性障害があります。こころの性とからだの性を一致させたい場合には、医師による診断が必要であり、性同一性障害はその際の診断名です。トランスジェンダーの中には、自分の身体の性別に違和感を感じていても医師による診断、治療を必要としない人もいます。
学校生活での配慮
こころの性とからだの性が一致していない児童・生徒に対し、学校生活での授業、服装、トイレなど、学校の対応はどうでしょうか。
平成27年、文部科学省が全国の学校に通知した教職員向け周知資料の中で、性的マイノリティの児童・生徒に対して、学校生活の支援について参考事例を挙げています。
具体的には、トイレに関する支援では、職員用や多目的トイレの使用や服装については自認する性別の制服・衣服や体操着の着用を認める。授業では体育や保健体育において別メニューを設定する。運動部の活動では、自認する性別に係る活動への参加を認めるなどです。
また、こころの性とからだの性が一致しない児童・生徒への配慮と、他の児童・生徒への配慮との均衡を取りながら支援を進めることが重要であるとされています。
性の多様性を尊重する
からだの性、こころの性、性的指向は人それぞれです。性の在り方は多様であると認める気持ちが大切です。
図書の紹介
男女共同参画センターデュオの情報ライブラリーにある蔵書です。
『先生と親のためのLGBTガイド もしあなたがカミングアウトされたなら』
遠藤 まめた(合同出版)
『スカートはかなきゃダメですか?ジャージで学校』
名取 寛人(理論社)
『トランスジェンダー・フェミニズム』
田中 玲(インパクト出版会)
『明るいトランスジェンダー生活』
佐倉 智美(トランスビュー)
市民スタッフ 編集後記
LGBTという言葉を聞いたことはありましたが、ただ言葉を知っているだけでした。しかし、今回記事を書くにあたり調べていくと、LGBとTは同じではなく、性的指向と性自認があると分かり、それらは異なると初めて知ることができました。言葉は知っているけれどよく分からないという人に、この記事をきっかけに、少しでも知ってもらえたらと思います。
人には多様な性があり、それが個性であると思いました。自分と他者との違いを認め、お互いを尊重できる気持ちを大切にしたいです。LGBTの資料を集めて記事を検討しているうちに、誰もが生きやすい社会とは何だろうと考えるようになりました。
知っていることと理解することの違いを今回学ぶことができました。私たちが理解を深めるにはまだ時間が必要なのかもしれないと感じました。