ボランティア・NPOの部屋


吹田市 市民公益活動協働促進研究会報告書


第2章 吹田市における市民公益活動推進拠点の整備に関して
第2節 新たな市民公益活動拠点整備の必要性と、そのあり方
Ⅰ.新しい市民公益活動拠点整備の必要性
 吹田市の市民公益活動は活発化してきており、『ボランティアグループ・NPOガイドブック』(平成13年8月、吹田市発行)に掲載されている団体だけでも任意団体・ボランティアグループが77団体、法人格のある団体14団体、ボランティア募集がある福祉施設22団体となっている。

ⅰ.総合的に市民公益活動を推進していく必要性
 吹田市では環境問題、社会福祉などの市民公益活動は存在するが、個別分野を超えて総合的に市民公益活動の支援のみを目的とする組織はない
 しかし、市民公益活動は個別分野を越えて活動しはじめている。例えば、環境問題と言っても、自然環境保全に取り組む活動もあればリサイクル問題に取り組む活動もある。しかし、それらの活動が総合的な取り組みをはじめると、大人世代だけでなく、次代を担う子どもたちへの意識改革がどうしても必要になり、子どもへの環境教育という点で教育機関との連携が生じてきたりする。
 また、高齢者福祉に対する活動や独居老人の支援などからは、防犯・防災の地域安全活動、人権擁護への活動と課題が広がっている団体もある。
 このように、今後、個別課題解決の活動だけでなく、分野横断型の活動が重要になってくる。さらに各個別の活動を支援しながら総合的なコーディネートができる組織が必要になってきている。

ⅱ.市民公益活動団体と行政、企業、市民をつなぐ仲介機関の必要性
 市民公益活動の多くは規模が小さいが、それぞれが独自の専門性を持っている。しかし、人的な交流や、活動内容への参加、情報の交換などの点で行政や企業と十分連携を図れているとは言い難い。
 また、ボランティアを必要としている団体と、ボランティア活動に参加したいと考えている市民との連携を日常的、継続的な活動として取り組めているところも少ない。
 このような市民公益活動団体が企業や市民の支援者との連携・協働を進める上では「仲介機関」としての拠点の存在が重要である。
 市民公益活動団体も、その支援者も、ともに多種多様に存在する中では、市民公益活動団体がボランティアや寄附などの形で市民や企業などの支援者を得る(支援者の側からすると、支援先を見つける)ことは、一種の「パートナー探し」と言える。
 この時、「仲介機関」がなければ、それぞれの活動団体や支援者は、個別に情報を集めたり、働きかけたりするために多くのエネルギーが必要となる(図1-1)。

図1 仲介機関による「パートナー探し・コスト」の軽減効果
1.仲介機関がない場合:問い合わせと調整に膨大なエネルギーがとられる

仲介機関がない場合

2.仲介機関がある場合:問い合わせ、調整のコストが軽減できる
仲介機関がある場合

※ 上記の図は、田中弥生『「NPO」幻想と現実』同友館、1999年 を参考に作成した。

 一方、活動団体と支援者を結ぶ「仲介機関」が、双方の情報収集と発信機能を専門的に展開することによって、両者の協働は効率化が図られる(図1-2)。
 また、今後、行政の事業委託などを進める際にも、行政の情報公開を進め、行政と市民公益活動の仲介に当たる拠点が必要である。
 このように仲介を専門に担う組織があれば、それぞれに個性的な要求を持ったものが、わずかなエネルギーを使うだけで、お互いの最適なパートナーをさがすことができるようになる。

ⅲ.市民公益活動団体の共通な活動基盤を整備する必要性
 吹田市が平成12年(2000年)7、8月に実施した市内の非営利・公益活動団体120団体のアンケート結果「市民公益活動と行政の協働に関する調査」(平成13年3月発行)によると、活動上の課題は、困っている順に、

A.運営のノウハウ(情報発信や収集、広報、インターネットなどの情報不足)
B.人材不足(専門家・助言者、活動メンバー、会員・支援者、専従スタッフ)
C.活動資金(資金不足、助成金・補助金の獲得ノウハウ)
D.活動拠点(備品の置き場、集まる場所、郵送物の受け渡し)

になっている。
 これらは、ほぼどの団体もかかえている共通の基本的な課題であるが、単独の団体では解決の方法すら見えてこないことも多い。
 中間支援組織はこれらの団体が分野や地域を越えて、交流や情報交換を通じて課題を解決する拠点となるであろう。

ⅳ.地域での日常活動を支援できる場づくりの必要性
 「市民公益活動と行政の協働に関する調査」のアンケート結果でも、市民公益活動団体の日常活動場所は、地域の地区公民館が61%を占めている。また、個人宅も7%もあることから、地域密着型の市民公益活動が多く、身近な場所を拠点にしていることを示している。地域で活動しやすい環境とするためには、活動場所や備品の置き場、郵便物の受け渡しの場などが、身近な場所に整備されることが求められる。地域の既存公共施設の利用や空き店舗の安価な貸し出しなどを円滑にし、恒常的な利用・運営がはかられるような支援活動があれば、地域での活動は活発化していくだろう。

ⅴ.ボランティア活動を支え、社会活動を担える団体への組織化を支援する必要性
 当初は個人として自発的にボランティア活動に参加していた人の中には、活動を続ける中で、永続的な社会貢献の組織をつくる活動を担おうとする人もでてくる。意識的な活動目的を持ち、経験を積み重ねることにより、独立した意志と責任を担える組織体になっていく。そうなると、その組織体は社会的な力を持ち、大きく社会に貢献していくことができるのである。
 中間支援組織は、これらボランティアの個人活動を市民公益活動団体に発展させることを支援するものである。

ⅵ.市民および企業等によるメセナ活動を促進する必要性
 市民や企業市民としての企業が一体となって市民公益活動に取り組むためには、できるだけ多くの市民と企業が、市民公益活動について理解を深め、何らかの形で協働できる仕組みが必要である。実際の活動に参加できない市民や企業市民にも、支援者としてメセナ活動(※)への参加を呼びかけ、促進していくことは、市民と企業が一体となった多様な協働を進めていく上で重要である。
 そのためには、メセナとなる市民、企業および団体が中心となって推進組織を設け、メセナ活動促進のための情報交換や支援を行なうことが望まれる。しかし、当面は行政と、企業団体等が協力してこのメセナ活動推進組織を設置し、市民公益活動支援組織との連携を図りながら、運営していく必要がある。

※メセナ活動:元来は、芸術文化擁護・支援を意味するフランス語。1990年、日本に「企業メセナ協議会」が設立された際に、テレビ番組の協賛の意で使用されてきた“スポンサー”という英語ではなくフランス語のメセナを採用したことから、メセナは「企業がパートナーシップの精神に基づいて行なう芸術文化支援を指す言葉」として知られるようになった。


Ⅱ.中間支援組織の機能を高めるための留意点
ⅰ.仲介機能を高めるため、中立的な立場を保つ
 ここで、中間支援組織の役割を果たすために、留意しておく点がある。それは、仲介機能を高めるためには、間接的な活動を原則とし、中立的な立場を維持する必要があるということである。
 中間支援組織は行政、企業、市民などとの仲介役であり、いずれとの間でも公正中立でなければならない。したがって中間支援組織は、原則として一般の市民公益活動と競合するような個別具体の活動を行なうことは望ましいことではない。中間支援組織自らが直接的な課題解決を追求すると、同じ課題を取り組んでいる他の市民公益活動団体と競合関係になり、対立することにもなりかねない。
もっとも、未開拓の課題に先駆的に取り組む必要がある場合などは、いわば応急処置として直接、課題解決にあたらなければならないこともある。しかし、この場合も、できるだけ早い時点で、直接的な課題解決に取り組む団体を組織して独立させる“インキュベーター”(保育器)として関わるようにし、自らは間接的な関与に徹することが必要である。

 このような立場を保たなければ、行政や企業、ボランティア支援の市民と市民公益活動団体との「つなぎ役」という仲介機能は果たせなくなってしまう

ⅱ.「活動者」「支援者」「対象者」を対等に見る
仲介機関が「つなぎ役」であるためには、ボランティアや市民公益活動団体だけを擁護するのではなく、その支援者、そして課題を抱える人々や団体の立場のいずれをも尊重する立場に立つことが求められる。ボランティアのためだけのボランティアセンター、NPOのためだけのNPOセンターではなく、ボランティアや市民公益活動団体の「支援者」「対象者」のためにも役立つという視点から事業を進めなければならないのである。
 具体的には、たとえばボランティア募集側の都合から課題別に整理されがちであった活動メニューを、活動希望者の希望を踏まえ、曜日や活かせる技術から“検索”できる活動情報システムの開発や、ボランティアや寄付者を保護するため市民公益活動団体の信頼性をチェックする事業などを進める必要がある。

ⅲ.設備(ハード)面
 市民公益活動の支援を考える時に、中間支援組織が常駐する場や資料収集、市民公益活動団体の運営・経営に関する相談など、専門的な支援が行なわれる中央施設が必要である。その中央施設を「本館」と呼ぶならば、身近な地域にあり、使用しやすい地域密着型の市民公益活動を行なう場として、「分館」と呼ばれるものの整備も望まれる。
 本館の場所は、市内の交通至便な場所で、市役所との連絡などが取りやすい場所が最適である。そして本館には中間支援組織が入居し活動できるスペースだけでなく、収集した資料の保管場所、閲覧場所や大きな会議ができる場所、市民公益活動団体が利用できる安価な会議室、ボランティアが自由に集えるフリースペースなども必要であろう。
 一方、地域密着型の市民公益活動団体にとっては、身近で、少額で利用できる活動拠点が必要である。いつでも活動でき、自由に使用できる場所の存在が重要なのである。そのためには地域にある公共施設や学校の余裕教室、さらには、地域の空き店舗の安価な利用など、新たな地域活動拠点の創出の知恵を出し合って整備していく必要がある。
 上記の中間支援組織を、今、「市民公益活動支援センター」(仮称)と呼ぶことにする。また、建物、部屋、設備については、身障者、幼児などのことも充分に配慮し、バリアフリー化やシックハウス対策の徹底、保育室を整備する。
 なお、「本館」は、かなり広いスペースを想定しているが、会議室などを狭くしても、機能が果たせればそれでもよいであろう。また、「分館」は本館に準じて相応の設備を持つが、最低でも事務所的設備以外に印刷、作業スペース、メールボックスなどは必要である。

A.場所/建物
市民公益活動支援センター本館(新設、市役所の一部分など)
市民公益活動支援センター分館(公民館、コミュニティセンター、学校の余裕教室など)

B.本館
a.事務室  (市民公益活動支援センター事務室として)
b.共用事務室(事務所を持たない活動初期の市民公益活動団体支援のため)
c.会議室   大会議室50人程度、小会議室15人程度 各1室
d.保育室   市民公益活動の大きな担い手である子育て、教育、男女共同参画のグループにとっては必要不可欠である。
e.多目的コーナー
 交流サロン  喫茶、飲料自動販売機などの設置
f.相談情報コーナー
 資料室・閲覧室
 行事案内板  事務所、活動団体の各種行事日程表
 情報掲示板  活動団体のイベント情報、活動スタッフの募集などのポスター、企業や行政からの情報チラシなどを掲示
g.メール・ボックスルーム
h.パソコンルーム 20台程度を設置:研修用および活動団体も使用可とする。

C.必要な設備
a.パソコン 3台程度を事務所用、20台程度を貸し出し用、パソコン用印刷機各1台
(ブロードバンド※接続、LAN※によるネットワーク化)
b.印刷機  A3可、印刷機
c.複写機  A3可、カラー複写機
d.紙折り機  裁断機  製本機
e.電話機ファックス付き 2台
f.掲示板
g.書架、ロッカー、(資料収集および閲覧用)
h.応接セット、簡易間仕切り、受付台、メールボックス50~100個程度
i.事務所机・椅子 各3脚程度、会議室用机1脚程度、パイプ椅子50脚程度
j.保育用備品
k.マイク、ピンマイク、OHP、OHC、液晶プロジェクター、スライド映写機など
l.録画・録音機器  その他事務用品

※ブロードバンド:直訳すれば「広域帯」。もともとは広い周波数帯域を持ったケーブル放送などを意味したが、高速インターネットが広まるにつれ、光ファイバーやデジタル加入者線など高速回線を総称する言葉として使われるようになった。この回線を利用すれば、大量のデータを高速で短時間に送受信することができる。

※LAN:Local Area Networkの略。事務所や家庭など比較的狭い範囲に設置されたコンピュータ同士を接続することで、それぞれのコンピュータのデータを相互に利用したり印刷機など周辺機器を共用したりできるようになる。

D.開館日・開館時間
 土曜、日曜は原則として開館するべきであろうが、公民館やコミュニティセンターを利用する場合は、開館日・開館時間はそれぞれの施設に合わせる必要がある。また、仕事を持っている人や学生や利用者の便宜を図るため、調整が必要である。
 開館時間は、午前9時半から午後10時までを目途とする。

ⅳ.機能(ソフト)面
A.研修
 研修は大きく分けて、市民公益活動に対する理解、認識を深めるための啓発と、市民公益活動団体自身が力をつけるためのものが考えられる
a.市民を対象に啓発講座
市民自治、市民分権などについての理解を得られるような講座、市民が市民公益活動に参加し、社会改革の主体となるための講座
b.市民公益活動団体を対象にする研修
交流イベント……交流会(部門別、課題別に問題解決型の交流)
先進事例の見学
市民公益活動団体の力の向上を図る……企画、プレゼンテーション、財務、パソコン、労務など
c.自治体職員対象の研修
市民公益活動団体と行政との協働をすすめるための研修……共通の認識が必要
d.企業の社員、退職者を対象にする研修

B.相談(起業化・法人化支援なども含む)
 その性質上、自立した活動が期待される市民公益活動ではあるが、まだ揺らん期にある市民公益活動の基盤を固めるために、またこれから市民公益活動を起こしていこうとするグループのために、様々な形の相談事業を提供する。
a.補助金申請
b.市民公益活動団体の運営について
c.法人化支援
d.専門家紹介、派遣
e.立ち上げ支援 など

C.情報提供、広報支援
 正確な情報の収集、提供は重要な事業の一つである。データベースを充実させれば、市民は必要に応じて情報を獲得することができる。また広報については、それぞれの市民公益活動団体自らの広報活動に加え、「市民公益活動拠点」からの発信は、より大きな効果をあげるものである。
a.会報誌発行
b.ニューズレターの発行...…市民公益活動団体の状況などを伝える。
c.ホームページ……市民公益活動団体、ボランティアグループ、イベント等の紹介
北摂エリア、大阪圏のボランティア情報(他市の活動拠点との連携で可能) 市民公益活動団体の活動状況に関するもの
d.自治体、企業、財団などの助成金、事業委託などの情報提供
e.市民公益活動団体からの情報公開(活動、決算報告など)
f.行政施策やデータの収集、提供
g.公共施設の空き室情報のオンラインチェック機能
h.掲示板を設置...…情報発信・情報交換を支援
i.市民公益活動に関する基本的な文献、情報の収集と整理
j.市民公益活動に関する文献、書籍などの販売
k.支援センターから市民公益活動団体のイベント、ボランティア募集情報などをマスコミに発信をする。

D.支援者と市民公益活動団体との協働仲介(対企業、行政、市民……)
 市民公益活動団体と企業、行政、市民などは課題解決にあたり、協働し、総合補完的な関係になる必要がある。協働の形態として、次のようなものが考えられる。
a.行政の事業委託に市民公益活動団体が参加できるシステムづくり
b.事業委託の仲介のため行政と市民公益活動団体の協働関係構築のためのコーディネート
c.企業、行政からの補助金の運用……市民公益活動団体間で競争入札や公開審査会(コンペ)を行なう
d.社会福祉協議会、国際交流協会などと連携し、市民公益活動団体との仲介をする
e.企業との連携のためのプログラムづくり
f.メセナ活動推進組織と連携し商工業者などと市民公益活動団体との交流の場を企画
g.空き店舗などを低額で市民公益活動団体に提供してもらうための仲介
h.活動資金の助成に関わる支援……寄付金の受け方講座や金融機関への斡旋、コンペ開催
i.ボランティア活動志願者と受入希望団体との仲介 など

E.調査研究、政策提言など
「支援拠点」の機能として、調査研究、政策提言などについて、次のようなことが考えられる。
a.行政との交流促進……職員、議員の理解を広げる。
b.政策提言と実施体制の検討
c.市民公益活動団体から行政への各種提言窓口
d.受託調査、研究
e.市民公益活動団体の実態調査
f.補助金制度の創設 など
F.会場、備品提供など
市民公益活動を立ち上げ、活動をしていく上で事務所、印刷機などの必要性は大きい。
a.活動立ち上げ時の事務所スペースの提供
b.市民公益活動団体の共同事務所の提供
c.会議スペース、作業スペースなどの提供
d.備品などの保管スペースの提供
e.印刷機など事務機器の提供
f.その他活動資金の助成などに関すること。
g.メールボックス提供 など

ⅴ.運営と財政
A.運営形態
「支援センター」の運営については、
行政が設立し運営する行政主導型の「官設官営」形態
行政が設立し運営を民間が担う「官設民営」形態
民間の手によって設立し自主的に運営する「民設民営」形態
の3つに分類されることが多い。それぞれの内容は下表のとおりである。
  官設官営 官設民営 民設民営
設置主体 行政 行政 民間団体
運営主体 行政 民間団体
(契約先の選定は入札か随意契約)
民間団体
行政の関与 主体 民間団体に委託
(行政との契約)
補助、貸与など
(事業の一部委託も可能)
市民の関与 議会/運営ボランティアとしての参加 民間団体の理事会/運営委員会/運営ボランティアとしての参加 民間団体の理事会/運営委員会/運営ボランティアとしての参加
職員 市職員(異動がある) 民間団体職員(専任) 民間団体職員(専任)
事業資金 行政資金 主に行政資金(人件費の支出も容易)。
独自事業は自主財源。
主に民間資金(行政からの人件費支出は受託事業以外、一般に困難)
自由度 由度 「全体の奉仕者」として各種の制約を受けざるを得ない(ただし安定) 受託団体の能力、専門性、経済的自立度次第(交渉能力が必要) 自由(ただし不安定)
利点 資金面の安定と運営の永続性がある。 官設官営と民設民営の折衷型で双方の利点が活かせる。 市民の主体性が活きる。
特徴 社会的信用もあり資金面でも安定しているが、行政主導型となり、公平を基準とする行政では、全体の合意が求められることや、職員が恒常的に異動することから、支援体制として専門性や先駆性に期待できない。 行政は運営を民間に委託する場合が多い。戝源を委託事業収入だけに頼らず、会費、助成金、独自性のある自主事業等で財源の確保に努力することで市民主導の運営をめざすことが望まれる。 市民が自発的に市民公益活動を推進し、意欲溢れる拠点運営を目指すには「民設民営」形態が理想である。ただし高い経営センスが求められる。
 ただし表の3形態の中でも、さらに多様なバリエーションがあり、たとえば「官設民営」の運営形態の場合も、財源の構成や運営主体の力量、行政の関与の仕方などによって、実質的に「官設官営」的になる場合もあれば、逆に民間性を活かした自由な運営が実現できている事例もある。
 そこで、本研究会では意欲溢れる拠点運営を目指すには、元来、市民主導の「民設民営」が理想的であるが、現実には資金調達などに難しい面があり、運営の工夫で民間の良さを発揮できる面もあるため、行政と協働しながら市民主導の運営を目指す「官設民営」の形態をとることが最適であるとの結論に達した。
 なお、行政の委託を受けながら市民主導の自立した機関となるためには、運営組織自体の事業推進能力を高めることが極めて重要である。つまり運営組織自体の日常的な対応や進行管理を行なう事務局が、事業の質を左右するため、事務局体制の確立が必要である

B.運営の原則
 市民公益活動団体への支援に公益性と公共性が求められるように、その活動拠点にも公益性と公共性が求められる。したがって、拠点の利用は常に公益活動を行なおうとする市民に対してオープンでなければならない。
 また、拠点運営についても市民公益活動の自発性や自主性を損なわないための仕組みが必要である。
 財政面でも行政資金だけに依存するのでなく、会費や寄付金・助成金・事業収入の確保を図り、財政上も独立して運営できるように努力すると同時に、財政面を含む徹底した情報公開による運営の透明化が必要である。

<運営の基本的な考え方>
a.市民の、市民による、市民のための市民公益活動支援体制を確立する。
(自治性)
市民主体の運営とするために、センターは創設趣旨に賛同する市民を会員として創設し、会員である市民がセンターの事業企画や運営に参画する。
(公益性)
施設の中で、交流広場や情報提供・相談窓口などは一般市民が誰でも利用できるものとする。利用に際しては、登録を要する施設・設備について登録更新制度を取り入れて公共性の確保に努める。
(独立性)
市民の自立性を高めるため、行政資金だけに依存せず、自主財源の確保を図る。

b.運営体制の公平性・透明性を確保するために情報公開を徹底する。
(透明性)総会や運営委員会・評価委員会などを通じて、事業・活動・財務等について定期的に情報公開をする。

c.行政・事業者・関連機関や各団体との連携を図り、協働による運営を行なう。
(連携)事業企画に関心のある人と専従スタッフでプロジェクトチームを導入する。

C.官設民営による運営主体のあり方
 多くの市民公益活動団体を支援するためには、市民公益活動支援センターを運営する主体自体が組織として確立し、運営団体が主体的に事業を進めていかなければならない。
 そのためには専従スタッフの確保は不可欠であり、センターの運営主体は民間団体が担うことが必要である。
 なお、民間団体が担う場合は、既に実績のある法人団体に委託か補助をすれば早期に実績を上げることができる。

a.既存の民間団体が担う場合
1.運営を担う民間団体がある場合の選考方法
ⅰ.運営団体は、企画コンペ方式により公募する。
選考委員会により公開の場で選考を行ない決定することが望ましい。
ⅱ.選考委員の構成は、基本的に市民公益活動審議会委員と市職員で構成する。
ただし、支援センターの運営団体に応募した団体の関係者は除く。また、運営団体の選考経過については、公平性と透明性を担保できる方法が必要であり、公開での競争入札が最も一般的である。
なお、委託団体の決定にあたっては、請負金額よりも事業推進能力や運営体制を重視すべきである。また、運営団体の任期を定め公募・選考とすることが望ましい。

2.運営を担う民間団体がない場合
 公益市民公益活動の推進に関心を持つ市民の参加を広く求め、準備会を発足させる。そのメンバーが中核となって、あらたに事務局運営を受託できる団体を創設する。
 なお、短期的には民間運営団体が自立運営できる準備期の過程で、市外の専門機関から事務局専従スタッフの派遣を受けることも考えられる。この場合、事務局を担当する人材の確保が重要となる。
b.運営組織
1.事務局 (事業推進機関)→中央拠点に事務局を置き、地域は自主運営とする。
2.運営委員会 (事業方針を決める機関)→会員を中核として構成する。
3.評価委員会 (事業評価を行なう第三者機関)
委員会の構成や業務については継続して検討することとする。

c.事務局
1.事務局の人材は活動推進への熱意と能力を持つことは当然であるが、市民公益活動支援機関や市民公益活動団体での経験を有するなど、市民公益活動運営上の課題を理解していなければならない。
2.事業運営に関わる会議には全スタッフが参加し、発言できる体制とする。
3.拠点の施設管理や運営を考慮すると、最低でも事務局1名、事務員4名の専従スタッフが必要である。
4.事務局スタッフが、長期にわたり業務に携わることによる独善化やマンネリ化を避けるために任期制を導入する。

d.財政の方針
1.会費収入
会費収入は使途の限定がなく、定期的かつある程度安定した収入である。しかし、会費の高額設定は見込めず、多額の収入になるわけではない。
2.自主事業収入
自主事業収入には、講座受講料や情報誌の購読料などがある。これは利用者のニーズに合えば利益を得ることも可能であるが、料金の設定を高額にはできないため、多額の収入にはならない。
そのため、独自の自主事業の創設が必要となり、今後の課題となる。
3.補助金・助成金収入
補助金や助成金は、事業費や備品費などの使途は限定される場合が多いが、比較的多額の資金が得られる場合もある。
選考を経て得られる資金であるため、財源としては不安定である。
4.受託事業収入
講師派遣収入のような単発の事業委託や、調査研究のような1~2年で完了する事業委託や会館管理のような長期的に継続される事業委託がある。

e.活動拠点の運営評価
 活動拠点の運営については財政的視点、会員からの視点、業務プロセスの視点、学習・成長の視点などの多様な視点のバランスを考えた目標達成マネジメントを取り入れて運営の強化に努める。
 目標達成マネジメントは、目標の設定から達成評価までを第三者と相談をして実施していくもので、単なる評価をするだけでなく団体の成長プロセスを大切にしたシステムである。


 





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