住民監査請求の手引き

ページ番号1008681 更新日 2022年9月28日

住民監査請求についてもっと詳しく知りたい方のために、Q&A形式でまとめました。

Q1:住民監査請求は誰を対象にできますか?

A1:答え

住民監査請求の対象となる者は、市の長、委員会、委員又は市の職員(以下「関係職員など」といいます。)に限られます(地方自治法第242条第1項)。

住民監査請求の対象となる者とは


  1. 長とは、市長をいいます。
  2. 委員会
    委員会とは、市の教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
  3. 委員
    委員とは、監査委員をいいます。
  4. 職員
    職員とは、すべての職員をいいます。
  • ※議会及び議員は住民監査請求の対象とはできません。
  • ※関係職員などの特定においては、氏名まで指定する必要はなく、例えば「本件公金の支出を行った職員」や「本件公金の支出について責任を有する者」などとして特定することもできます。

Q2:住民監査請求の対象となる事項とはどういうものですか?

A2:答え

住民監査請求の対象となる事項は、違法若しくは不当な財務会計上の行為又は怠る事実に限られます(地方自治法第242条第1項)。
違法とは、法令の規定に違反することをいい、不当とは、違法ではないものの行政上実質的に妥当性を欠くこと又は適当でないことをいいます。

財務会計上の行為とは

  1. 公金の支出(補助金の支出、給与の支給など)
    公金とは、法令上市又はその機関の管理に属する現金、有価証券をいいます。
  2. 財産の取得・管理・処分(土地の取得、損害賠償請求権の放棄など)
    財産とは、公有財産、物品、債権、基金をいいます。
  3. 契約の締結・履行(売買契約の締結、工事請負契約の履行など)
    契約とは、市を一方の当事者とする売買、貸借、請負その他の契約をいいます。
  4. 債務その他の義務の負担(予算額を超える借入金の決定など)
    債務その他の義務とは、市に財務上の義務を生じさせるものをいいます。

※上記の財務会計上の行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合においても住民監査請求をすることができます。

怠る事実とは

  1. 公金の賦課・徴収を怠る事実(下水道使用料の賦課、市税の徴収を怠るなど)
    賦課とは、法令や条例などに基づいて税、手数料又は使用料などの金額を確定させることをいいます。
    公金の賦課・徴収を怠る事実の例としては、条例により使用料を納めるべき者に対し故意に使用料を賦課しないこと、課税された市税を理由なく徴収しないことなどが挙げられます。
  2. 財産の管理を怠る事実(公有財産の保全管理、債権管理を怠るなど)
    財産の管理を怠る事実の例としては、市営住宅(公有財産)に不正に入居している者に対して理由なく法令に基づく措置を取らないこと、条例に基づく貸付金(債権)が貸付目的以外に使われているにもかかわらず漫然と放置していることなどが挙げられます。

Q3:住民監査請求の対象となる事項はどの程度特定するのですか?

A3:答え

住民監査請求の対象となる財務会計上の行為又は怠る事実は、個別的、具体的に特定する必要があります。

個別的・具体的の程度とは(最高裁判決 平成2年6月5日)

  • 財務会計上の行為又は怠る事実を監査委員が行うべき監査の端緒を与える程度に特定すれば足りるというものではありません。
  • 財務会計上の行為又は怠る事実を他の事項から区別して特定認識できるように個別的、具体的に摘示することを要します。
  • 財務会計上の行為又は怠る事実が複数である場合には、財務会計上の行為又は怠る事実の性質、目的などに照らしこれらを一体とみてその違法又は不当性を判断するのを相当とする場合を除き、財務会計上の行為又は怠る事実を他の行為などと区別して特定認識できるように個別的、具体的に摘示することを要します。
  • 監査請求書及びこれに添付された事実証明書の各記載、監査請求人が提出したその他の資料などを総合しても、監査請求の対象が上記の程度に具体的に摘示されていないと認められるときは、当該監査請求は、請求の特定を欠くものとして不適法であり、監査委員はその請求について監査をする義務を負いません。

Q4:違法又は不当である理由は、なぜ書かなくてはいけませんか?

A4:答え

住民監査請求の対象となる財務会計上の行為又は怠る事実は、違法又は不当なものに限られます(地方自治法第242条第1項)。
請求される方は、請求書に記載する財務会計上の行為又は怠る事実について、どのような理由で違法又は不当なのかを示す必要があります。

Q5:市に損害がない行為等については、住民監査請求ができないのですか?

A5:答え

住民監査請求の制度は、住民が、監査委員に対し、関係職員などの違法又は不当な財務会計上の行為又は怠る事実に対する監査及び防止、是正の措置を請求することで、市の財政の腐敗防止を図り、住民全体の利益を確保することを目的としています。
そのため、監査の対象となる財務会計上の行為又は怠る事実は、市に何らかの損害を与えるもので、ひいては住民全体の利益に反するものでなければなりません。
よって、住民監査請求は、たとえ違法又は不当な財務会計上の行為又は怠る事実があっても、市に財産的な損害が発生し又は発生しようとしていると認められない場合は、行うことができません(最高裁判決 平成6年9月8日)。
請求される方は、請求書に記載する財務会計上の行為又は怠る事実について、どのような損害が発生し又は発生しようとしているのかを示す必要があります。
住民監査請求の対象となる事項は、違法若しくは不当な財務会計上の行為又は怠る事実に限られます(地方自治法第242条第1項)。
違法とは、法令の規定に違反することをいい、不当とは、違法ではないものの行政上実質的に妥当性を欠くこと又は適当でないことをいいます。

Q6:住民監査請求はいつでもできますか?

A6:答え

住民監査請求は、正当な理由がある場合を除いて、財務会計上の行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、行うことができません(地方自治法第242条第2項)。
請求される方は、財務会計上の行為から1年を経過して請求書を提出する場合、請求書において、1年を経過したことの正当な理由を示す必要があります。
なお、怠る事実について行う住民監査請求については、その事実が継続している限り、請求の期間制限はありませんが、怠る事実が終了した場合や、怠る事実が財務会計上の行為に起因する場合は、期間制限を満たす必要があります。

財務会計上の行為のあった日又は終わった日とは

  1. 「あった日」
    違法又は不当な財務会計上の行為の「あった日」とは、公金の支出をした日や、契約を締結した日などのように、一時的な行為のあった日をいいます。
  2. 「終わった日」
    違法又は不当な財務会計上の行為の「終わった日」とは、市有地の使用貸借契約の満了した日などのように、ある一定の期間継続する行為の終わった日をいいます。

正当な理由とは

  • 天変地異があった場合
  • 財務会計上の行為などが秘密裡にされた場合に限らず、住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為などの存在又は内容を知ることができなかった場合(最高裁判決 平成14年9月12日)
  • ※請求される方の個人的な事情は含まれません。
  • ※正当な理由があったと認められるかどうかについては、住民が、財務会計上の行為などの存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかなどによって監査委員が判断します。

怠る事実について期間制限を満たす必要がある場合とは

  • 怠る事実が終了した場合
    怠る事実が終了した場合の例としては、理由もなく課税されていなかった建物が課税された場合や放置されていた債権が徴収された場合などが挙げられます。
    財務会計上の行為の終わった日から1年を経過したときは住民監査請求をすることができないのと同様に、怠る事実の終わった日から1年を経過したときは住民監査請求をすることができません(最高裁判決 平成19年4月24日)。
  • 怠る事実が財務会計上の行為に起因する場合
    怠る事実を対象とする監査請求であっても、関係職員などの違法又は不当な財務会計上の行為に基づいて発生した請求権を行使しないことが財産の管理を怠る事実であるとして住民監査請求を行うときは、怠る事実に係る請求権の発生原因である財務会計上の行為のあった日又は終わった日を基準として期間制限を適用すべきであるとされています(最高裁判決 昭和62年2月20日)。
    例えば、「違法に安く土地を売却したことにより発生した損害賠償請求権を行使しないこと」が、違法に財産の管理を怠る事実であるとして住民監査請求を行うときは、土地の売却のあった日を基準として、1年を経過したときは、住民監査請求を行うことはできません。

Q7:事実証明書は必ず添付しなくてはなりませんか?

A7:答え

住民監査請求では、請求される方は、違法又は不当な財務会計上の行為又は怠る事実について、その内容を証する書面を添える必要があります(地方自治法第242条第1項)。
事実証明書として何を添付するかの定めは特にありませんが、一般的なものを挙げると、次のとおりです。

<事実証明書の例>

  1. 情報公開制度により入手した財務会計書類などの写し
  2. 情報公開制度により入手した関係職員などの作成した公文書の写し
  3. 請求される方などが市に対して行った照会の回答
  4. 違法又は不当な財務会計上の行為又は怠る事実についての報道記事

(これらはあくまで一例であり、具体的な内容によっては事実証明書として認められない場合がありますのでご注意ください。)

Q8:住民監査請求に基づく監査はどのような流れで行われますか?

A8:答え

監査委員が請求書を受付けてから、その結果を請求された方(表中では「請求人」としています。)へ、通知するまでの流れは、次のとおりです。

イラスト:住民監査請求フロー図

Q9:証拠の提出や陳述はどのように行うのですか?

A9:答え

請求書を受理した場合、監査委員は、請求された方に対し、監査を行う旨を通知するとともに、証拠の提出および陳述の機会を設けることを通知します。(地方自治法第242条第7項)
請求された方は、証拠の提出および陳述を行うかどうか、選択することができます。
監査委員は、必要があると認めるときは、請求された方が陳述を行う場合に関係職員などを、また、関係職員などが陳述を行う場合に請求された方を立ち会わせることができます。(地方自治法第242条第8項)

<証拠の提出および陳述>

  1. 証拠の提出
    請求された方は、陳述が行われる前日までの間、請求書の趣旨に基づき、証拠の提出を行うことができます。直接お持ちになるか、郵送してください。
  2. 陳述
    陳述とは、請求された方が、監査委員に対し請求の趣旨を補足して説明するもので、監査委員や関係職員などに質疑などを行う場ではありません。
    陳述は、請求された方または代理人が行います。代理人が陳述を行う場合は、委任状の提出が必要です。
    ※陳述では、その場の状況に応じて、監査委員が指示や判断をすることがあります。

Q10:外部の方に監査してもらうことはできますか?

A10:答え

  1. 監査委員が行う監査に代えて、外部監査人による監査を請求することもできます。その場合、請求される方は、請求書に外部監査人による監査が特に必要があると認める理由を示す必要があります。
  2. 外部監査人による監査を行うかどうかは、監査委員が判断します。
    なお、認められない場合は、監査委員による監査が行われます。
  3. 監査委員が請求書を受付けてから、その結果を請求された方(表中では「請求人」としています。)へ通知するまでの流れは、次のとおりです。

イラスト:個別外部監査フロー図

Q11:監査の結果に不服がある場合はどうしたらよいですか?

A11:答え

請求された方は、違法な財務会計上の行為又は怠る事実についての住民監査請求による監査の結果に不服がある場合、監査委員に対し異議の申立てを行うことはできませんが、住民訴訟を提起できます(地方自治法第242条の2)。
不当な財務会計上の行為又は怠る事実は、住民訴訟の対象事項とはなりません。
住民訴訟を提起できる場合と提起できる期間は次のとおりです。詳しくは、裁判所にお問合せください。

  住民訴訟を提起できる場合 住民訴訟を提起できる期間
1 監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合 当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があった日から30日以内
2 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合 当該措置に係る監査委員の通知があった日から30日以内
3 監査委員が請求をした日から60日を経過しても監査又は勧告を行なわない場合 当該60日を経過した日から30日以内
4 監査委員の勧告を受けた議会、長その他執行機関又は職員が措置を講じない場合 当該勧告に示された期間を経過した日から30日以内

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監査委員事務局
〒564-8550 大阪府吹田市泉町1丁目3番40号 (高層棟7階)
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