令和3年10月号市報すいた 市長コラム「あの日のひよこたち」

ページ番号1013055 更新日 2022年9月21日

小学生のころ、段ボールいっぱいのひよこをうどんで釣り上げる「ひよこ釣り」が、学校の正門前に時折出店されていました。
ある日、兄と6羽も釣り上げ意気揚々と帰宅。そりゃ親に「一体どーするの!」と怒られますよね。兄弟の懇願に負けて飼うこととなった6羽の雄たちは、すくすくと育ち、程なく若鶏になりました。
彼らは、早朝から「コケコッコー!」と大声で鳴き始め、近所迷惑に。親は、若鶏をペットとして可愛がっているわが子に、飼育断念をどう伝えようかと悩んだことでしょう。
「これ以上飼えないので、市場のかしわ屋さん(鶏肉専門店)に引き取ってもらう」との宣告を親から受け、兄弟で泣きました。6羽の若鶏を詰め込んだ段ボール箱を手に「ただ死ぬのではない。ありがたく命を頂くのだよ」との店主の説得もうわのそら。帰り道、空になり畳まれた段ボール箱を抱えたとき、命の重さを身にしみて感じたことを今でも鮮明に覚えています。
小さな命を守れなかったことへの怒りと後悔、みずからの弱さに落ち込んだ体験は、私にとって苦い「命の授業」でした。その後、私はシートン動物記、ファーブル昆虫記に夢中になり、動物生態学を専攻します。
心に刻まれる「授業」には一人の人生を変える力があるのですね。

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