令和2年3月号市報すいた市長コラム「大人って」

ページ番号1013036 更新日 2022年9月21日

「大人ってすごいな」。東北の被災地で復興に立ち向かう年配の漁師に出会いこぼれた、大学生の言葉です。
「せやねん、大人ってすごいねんで」とテレビの中の彼女に私は思わずつぶやきました。生きるということはそう簡単ではありません。多くの重荷を背負い毎日を歩んできた大人たち、その笑顔の裏に何があるのか、若者は知る由もありません。

人は長い道のりで、大切な人との別れ、怒り、無念など、逃れることのできない苦労に繰り返し直面し、さまざまなことを経験して大人になります。被災し、財産も仕事も大切な人をも突然奪われる、という想像を絶する状況においても、前を向いて戦い続ける漁師の背中に、大人の圧倒的な強さを見たのでしょう。
言い訳、開き直り、ハラスメント。今、若者たちはニュースなどでこんな大人の姿を目にしています。けれども、それはごく一部だということを、多くの大人と接して感じ取ってほしいのです。

私たち大人は、いつも誰かに見られています。身近な若者に「いい大人もおるやん」と感じてもらえる背中で居ること、それが大人の負う「未来への責任」であると私は思います。
漁師の背中と若者のまっすぐな視線に恥じない生き様となっているか、これからも一日の終わりに振り返り続けようと思います。