ボランティア・NPOの部屋


吹田市市民活動と行政の協働促進研究会報告書

吹田市は市政運営において、「協働と協育」を基本理念とした市民参画型の行政をめざした取組を進めています。その一環として、平成12年(2000年)6月に「吹田市市民活動と行政の協働促進研究会」(巡静一会長)を設置し、市民活動と吹田市の行政との協働促進に向けての課題と方策等について検討していただいておりました。

この報告書は、その結果をまとめたものです。

まとめにあたっては、吹田市内を中心に活動する市民活動団体に対する実態調査と意識調査の結果を参考にするとともに、平成12年(2000年)5月に吹田市民から公募しました委員で構成した「吹田市行政との協働を考える市民会議」(奥井秀子会長)で論議されました結果も参考にし作成しました。

本ページは、報告書の「目次」及び、今後の課題と条例の必要性と条例化に向けた方向性を掲げた「第3章市民活動と行政の協働促進施策策定のための提言」部分の掲載としています。

なお、報告書を希望される人は、吹田市市民文化部地域自治推進室まで。

目次

第1章市民活動の意味と可能性
1.「奉仕活動」対「市民運動」から、「市民活動」へ
2.「ボランティア活動」対「有償活動」から、「市民活動」へ
3.行政の特性を超える市民活動
4.NPOという捉え方の普及
5.市民活動の「弱点」
6.住民網羅型組織と市民活動団体との関係
7.企業や労働組合による社会貢献活動と市民活動との関係

第2章市民活動と行政の「協働」の意義と可能性
1.市民活動と行政の「協働」の意義と形態
2.市民活動と行政の「協働」促進によって何が期待できるのか?
3.「協働」を進める上での課題

第3章市民活動の活性化と行政との協働促進施策策定のための提言
1. 市民活動の活性化と協働促進施策策定に向けた本提言の位置
2. 市民活動と行政の「協働」にあたっての
3. 条例の必要性と条例化に向けた方向性
4.今後、検討すべき協働施策
5.研究会および市民会議での「今後の課題」に対する検討結果

<参考資料>

1.吹田市「市民活動と行政の協働に関する調査」から
(1)吹田市における市民活動団体の状況
(2)市民活動団体が抱える悩み
(3)行政との「協働」に関する姿勢
(4)法人格取得志向別によるクロス分析

2.審議参加者名簿

3.審議経過


第3章市民活動の活性化と行政との協働促進施策策定のための提言

1.市民活動の活性化と協働促進のための施策づくりに向けた本提言の位置

以上の検討をもとに、以下では市民活動の活性化と行政との協働促進に向けての施策作りを進めるための提言を示す。
もっとも検討時間の制約などから、今回の提言は、体系性をもった本格的な協働促進施策を作成するための原則ないしプロセスの提示が中心であり、特に課題となるであろういくつかのトピックについて、「研究会」および「市民会議」で議論したものを加える形となった。
そこで以下の提言は、施策作りを進める上での方向性を示したものと言えよう。


2.市民活動と行政の「協働」にあたっての原則

市民活動の良さの多くは、その取り組みが行政から独立しているという「民間性」に由来している。つまり、市民活動の促進・協働策を検討していくにあたっては、市民活動団体の独立(団体の自主性・自立性)が確保された形での促進策を構築することが特に重要である。
そこで、この点をふまえた上で、市民活動と行政の協働にあたっての原則を整理した。

(1)対等の原則(市民活動団体と行政が対等な立場に立つこと)
市民活動団体と行政が協働して課題を解決する際に、特に市民活動団体の特性を発揮するためには、双方が対等な関係で連携することが不可欠である。特に行政は市民活動団体も行政と同様に公共活動を提供する担い手だと認め、上下ではなく横の関係にあることをお互いに常に認識し、各々の自由な意志に基づき協働することが第一歩となる。また協働を進める上で、企画段階からの市民の意見集約ができる環境の整備が望まれる。

(2)公開の原則(協働にあたっては市民活動団体と行政の関係などが公開されていること)
特定の市民活動団体と行政が協働関係を結ぶときは、両者の関係は、外からよく見える、開かれた状態であることが必要である。そのため両者についての基本的事項に関する情報が公開され共有されているとともに、一定の要件を満たせば誰もがその関係に参入できることが、公共的課題の解決に関する協働には欠かせない条件である。

(3)自主性確保と自立化推進の原則(市民活動の自主性確保を前提に自立化を促す方向で促進策を進めること)
市民活動の特性を発揮する上で、市民活動の自主性・主体性が確保されることが求められる。それに行政との協働にあたって市民活動の長所を活かすには、市民活動団体が独立し、自立して事業を展開できることが必要である。そこで、市民活動団体がさらに自立を進め、協働できるだけの力量を蓄え、依存や癒着関係に陥らない促進策とすることが重要である。

(4)相互理解と相乗効果の原則(相互の特性を理解し目標を共有し、相乗効果を生み出すこと)
行政と市民活動相互の特性を十分認識・尊重し、促進策の目標が何であるか双方の共通理解を深めた上で、促進策の展開を通じて、両者が単独・独立に事業を進める以上の効果(相乗効果)を生み出すよう努めることが必要である。

(5)市民活動優先の原則(市民が創造した公共サービスは、行政より優先させること)
従来行政が行ってきたサービスであっても、市民活動団体が行政に代わって担うことができるサービスについては、積極的に市民活動団体に委ねることが重要であり、また、市民活動団体が活躍する公共的活動分野においては、行政サービス提供の配慮が必要である。

以上の原則を踏まえつつ、市民活動と行政の協働を進めていくものとする。

3.条例の必要性と条例化に向けた方向性

「これまで専ら行政が担ってきた公共の分野において、自発的で自主的な意志による市民公益活動を行っている市民や団体が、社会サービスの供給主体として、様々な活動を行える環境を整備し、市民が互いに支え合う豊かな地域社会の実現を目指す」といった市政の基本方向を明らかにするとともに、上記のような原則を吹田市の施策展開全般にわたって確立するために、それを具体化していく手立てとして条例化する必要がある。
この条例は、まず憲法第89条(公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の組織に属さない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない)において規定されている公金支出等の禁止規定との関係を整理し、また地方自治法第232条の2(普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄付又は補助をすることができる)における「公益上の必要」の意味を明確化し、憲法や地方自治法に適合する制度や手続きとして市民活動団体に対する支援を進めるための根拠となるものである。また、市民活動団体を市のパートナーとして位置づけるとともに、公的支援の際の原則などを明確にし、地方自治法上の制度である議会や旧来からのパートナーである自治会等に市の方向性として示すものとならなければならない。
なお条例化の検討にあたっては、以下のような項目を設けることが必要である。

(1)条例制定の目的の明示
まず、条例制定を通じて市民活動の促進と協働の推進をはかることを明示しなければならない。

(2)条例で規定する市民活動の範囲
これまでの検討から、条例で規定する市民活動は、ボランティア活動団体に加えてNPO法人などの法人格を持っているか、取得を志向している団体も対象とすべきである。ただし、住民網羅型団体については、その性格がかなり異なるため、これについては別に検討することが適当である。
なお市民活動団体を規定する定義としては、特定非営利活動促進法にある特定非営利活動の定義(不特定多数の利益追求、入退会の自由、会員の平等な発言権、政治活動・宗教活動を主たる事業としない、暴力団との関係排除など)を応用することも考えられる。

(3)行政と市民活動との協働にあたっての原則
第3章2に示した原則も基本理念などの形で、条例にも盛り込む必要がある。特に市民参画による施策作りや、情報公開に関する規定、もっぱら行政がなすべきとされてきた公共サービスに市民活動が参入できるための規定、それに市民活動が自立をめざすという姿勢の確認などは重要であろう。

(4)行政の責務
市民活動の促進と行政との協働を進めるための行政の責務についても、考え方などを条例で確認しておくと、吹田市としての方針が明確化されやすい。そもそも行政には、施策実施にあたって大きな実行権限を有しているだけに、時代性をつかみ、変化する市民のニーズを敏感に察知する必要があるなど、行政に求められる責務は重い。
また市民活動と行政の協働を推進していくにあたっては、行政の各部局に協働に関する窓口を作り、相互の関係緊密化を図る。そのため行政内部を横断する連絡体制をつくるとともに、これを総括する窓口を作ることも必要である。

(5)市民および市民活動団体に求められる姿勢
市民活動と行政が対等に協働関係を築いていこうとする場合、行政だけに要求をぶつけ、市民活動はそのあり方を問われないということではバランスを欠く。行政との協働にあたって市民に求められる姿勢(たとえば、コミュニティの形成者としての自覚を高めること、多様な市民活動のスタイルを認め合う、市民活動団体が自立に向けて努力することなど)などについても、確認する必要があろう。

(6)企業への協力要請
市民活動の民間性を支える意味でも、また企業人の市民活動への参加促進を図る意味でも、「企業市民」活動の活性化が重要である。そこで、市民活動の促進に対して企業が積極的に関わるよう求める規定が盛り込まれることが望ましい。

(7)「基本方針」の作成
実効ある施策を実現していくためには促進施策の体系化は不可欠である。また市民活動の促進と行政との協働関係づくりを吹田市として総合的、計画的に展開する必要がある。
しかし、具体的な施策をすべて条例に規定することは柔軟性を欠くし、そもそも不可能であるため、「基本方針」を策定することを盛り込む必要がある。この「基本方針」の中には、市民活動との協働に関する理念・原則だけでなく、具体的な施策についてもできるだけ明確に書き込まれるものとする。

(8)行政と市民活動の協働施策作成のための検討機関の創設
上記の「基本方針」策定にあたっては、市民参加の検討機関を創設することとし、これを条例の中で明文化するものとする。なおこの検討機関は、施策策定に加えて、協働施策の実行状況を評価し、また市民活動団体と行政との協働時のトラブルについて調停する役割も担うことが望ましい。


4.「基本方針」作成のための検討機関のあり方

(1).検討機関の規模と構成
なお、この検討機関の規模としては、特に定員を定めずに関心のある市民が集って議論を進める形態と、一定数の委員を選考して議論を進める形態が想定される。前者は広く意見を集めやすい利点はあるが、人数が多くなる分、個々の委員の発言量が少なくなり、議論の集約は難しくなる。一方、後者は直接的に議論に参加できる人数が少なくなるが、議論の集約はしやすく深いレベルまでの検討が容易になる。両者を比較した場合、後者の欠点は幅広く市民の意見を求める場を設定することなどによってカバーすることも可能であるから、より深い検討が容易な後者の規模とすることが適当だと考えられる。
また委員の構成については、現に市民活動に関わる市民が過半数を占めることにするとともに、他の自治体での先進的な取り組みなど市民活動推進施策に関して専門的な知識・経験を有する者や、市民活動の重要なパートナーでもある社会貢献活動に熱心な企業関係者などの参画も求め、幅広い視点から議論ができるよう工夫する必要があろう。
そこで委員が活発に意見を交し合え議論を深められる人数としては概ね10名程度が適当だと考えられる。

(2).公募委員の選考方法
この場合、委員の選考が必要になるが、公募委員の選考方法については、応募者に課題レポートの提出を求め、執筆者を匿名化した上で、専門家委員によって選考するか、あるいは応募者自身の互選で選考する方式が考えられる。
このうち、「応募者の互選」とは、執筆者を匿名化した応募レポートの写しを応募者全員が読み合い、それぞれが優れていると考えるものを数点選んで、得点の多いものを執筆した者が委員になる方式である。この方式では、他の応募者の考えを共有することができ、選考された市民委員は選から漏れた応募者の意見も踏まえた上で検討機関に参加できるなど、メリットが多い。なお、応募レポートの募集時点からこの選考方式を公表しておけば、レポートの文面から執筆者が特定できないような形でレポートが集めることは可能で、応募者のプライバシーを損なうこともないと考えられる。

(3).会議の公開と市民からの意見集約、および対応結果の報告
なお、会議は公開にするとともに、中間報告書の公開とパブリックコメントの募集などによって、できるだけ市民の幅広い意見を受け止められる形態とする必要がある。
またこの場合、意見の聞きっぱなしに終わらないよう、寄せられた意見にどう対応したかを、ホームページなどの媒体を通じて公開することも検討する必要がある。


5.今後、検討すべき協働施策

市民活動と行政の協働施策については検討すべき課題も多いため、専門家や市民も含む検討組織により引き続き詰めていくとともに、条例制定後に設置する委員会などの場で、詳細に検討していくことが必要だが、そこで検討されるべき課題については、おおむね以下のようなものが考えられる。

(1)市民活動を支える活動資金について
・ 補助金支給のあり方および活動を支える基金(ないし公益信託)創設について
・市からボランティアや市民活動団体に支出される活動資金(実費弁償を含む)のルールの整理・統一について
・ 事業委託のあり方など

(2)市民活動を進めるための活動拠点について
・ 公共施設開放のあり方
・ 空き店舗などを活用した活動拠点確保の方策(備品設置場所の確保など)
・ 市民活動支援センター(中間支援機関)のあり方など

(3)市民活動に関わる人材育成やコンサルテーションのための施策について
・ ボランティアやコーディネーターの養成施策
・ 市民活動団体のためのマネジメント講座など開催
・ サポーター派遣制度など

(4)市民活動に関する情報提供や行政情報の公開について
・ 市民活動団体の活動状況や支援募集情報の収集・提供
・ 行政情報の公開など

(5)市民活動団体、行政、企業などの連携・交流について
・「吹田・企業メセナ協議会」(仮称)の開設など

(6)市民活動促進施策を進める態勢について
・ オンブズパーソン制のあり方
・ 行政の組織体制
・ その他、協働にあたって必要な施策のあり方

6.研究会および市民会議での「今後の課題」に対する検討結果

なお上記の課題の一部について、「検討機関」の創設に先行して、研究会および市民会議の中でも一定の検討を進めた。
市民活動と行政の協働施策の体系化は「検討機関」ですることになるが、そこでの議論が研究会および市民会議での検討を基盤に進めることができるよう、以下にそれぞれの課題に対する検討結果を報告する。

(1)市民活動を支える活動資金について

a.市民活動に対する補助金のあり方
補助金は、これに依存しすぎることで市民活動の自立を損なう面もあるが、活動の立ち上げ期などの補助金は逆に活動の発展を大いに助ける面がある。また活動コンクールの副賞として賞金を出す形式にすると、使途を限定しない自由に使える活動資金を提供することもできる。
なお現行の市民活動に対する補助金の中には、その制度の立ち上げ時点ではどうであったかは別にして、長年の推移で不透明になったり既得権化したりしていることもありうる。
この点については行財政改革の視点から団体補助金を廃止し、事業補助金に一本化することが決まっているが、補助金のさらなる透明性の確保など、誰もが納得できる補助・配分に努めることが求められる。
また補助金支出は、実費弁償的なものを含め、支出ルールの整理・統一が必要で、不公平感が伴うことがあってはならない。外郭団体の助成制度も含め、一層の透明化が求められる。
さらに行政の補助金以外に、民間の助成財団などで市民活動団体を対象とした助成金制度があるが、これを活用するには申請書類や企画書の書き方という表現力の向上が必要である。助成財団スタッフなどを講師に招き、助成申請に関する講座を開催することも積極的に検討すべきである。
また、市民活動団体が自由に使える活動資金を確保する力をつけるための研修事業を充実することや、行政などから事業委託を受けて活動に伴う資金を確保することも必要である。

b.日常的な活動費への行政補助について
市民活動を支える資金の中でも交通費などは、比較的少額だが日常的な支出であり、活動を継続するほど、また活動範囲が拡大するほど増加することになり、活動の発展を制約する面が大きい。特に一般のボランティア活動の場合、無償であることに加え、活動に参加することで支出がかさみ、新たな参加者を得ることが難しくなる面もある。
このような経費の弁償は、まずサービスの受益者が負担することが考えられるし、実際、そのようなケースも少なくない。ただし受益者が不特定多数である場合もあるし、そもそも受益者に負担能力がない場合も多い。
このため、アンケートや市民会議メンバーの間には、交通費に対する公的補助を求める意見もあった。一方、市民活動とは自らの発意で取り組むものだから、活動に伴って当然発生する交通費を他者に依存するのはおかしいという意見もあった。
行政の補助金の財源は税金であり、その支出は一般市民に共感されるものである必要がある。このため一律に実費弁償するのではなく、その活動が公的に支援されるべきかどうかを審査した上で、支出の是非を判断する仕組みを整備する必要がある。

(2)市民活動団体が公共サービスに参入する機会提供について
従来、公共サービスはもっぱら行政が提供するものとされてきたし、事業を外部に委託する場合も企業への委託が一般的であった。しかし、今後は市民活動団体にも参入の機会を提供していく旨、条例に明記するべきである。
なお、このための手続きとして、公共サービスに参入する意向を持つ市民活動団体が、その専門能力や事業実施体制を示すため「市民活動団体登録」などの仕組みを導入することも考えられる。
また、特に市民活動団体への事業委託を促進する分野・領域の確定や委託先の選定のルールについては後述する市民参加の検討機関で詳細を詰めるものとする。ただし、この場合、特に一定規模の事業委託については、受託希望団体による公開プレゼンテーションなどを経て委託先を選定するとともに、選定委員には受託希望団体と関係しない市民も参加することが望ましい。
さらに、選定に際しては、企業と同じ経済性だけを考慮する競争の原理を持ち込まず、細やかで多様なサービスを提供できるといった市民活動の特性を重視した審査基準で選定することが必要である。また「利権化」を防ぐため、委託先は一定期間ごとに見直すべきである。
なお、この審査会議自体も、可能な限り公開を原則とするべきである。この公開ルールについても、検討機関で詳細を詰めるものとする。

(3)市民活動を進めるための活動拠点について

a.既存施設の利用ルールの改善
アンケートおよび市民会議での意見交換の中では、a.会合場所や作業場所の量的な不足に加え、b.夜間ないし週末の会場が不足していること、c.備品の保管・郵便物の受け付けや一時預かり機能を果たす場がないこと、d.講座やバザーなどを営利目的の活動と同等に扱われること、e.狭い分野・領域ごとに施設が併立し、その分野に含まれないとされる市民活動団体の利用が「目的外利用」とされること、f.利用が一部の団体に固定化している面があることなど、多くの課題が指摘された。
この中には既存の公立施設の利用ルールを統一するなど、小規模の改善で解決も可能な課題も数多く出された。
市民活動団体が公的施設を利用しやすくするルールの改善も、検討する必要がある。

b.遊休施設の活用
活動場所や作業場所の絶対量が不足していることから、公立学校の余裕教室や遊休公共施設の開放、さらに空き店舗などを行政で借り上げ、市民活動団体に開放するなどの取り組みの検討も必要であろう。この場合も、特定の市民活動団体に利用が偏らないようにする工夫が必要である。

c.活動備品の整備
印刷機など市民活動団体が共用する備品の整備と利用料金の割引や免除を要望する団体もあった。利用料金の割引を吹田市の補助でまかなうことになれば、一般市民の負担に依存することになり、全額免除は困難だと考えられる。しかし、市民活動団体は公益的な活動に取り組んでいるわけであり、その利益は最終的に一般市民に還元される性格のものであることを考えると、多少の割引をすることにも合理性がある。この点についても検討する必要がある。

d.「市民活動サポートセンター」(仮称)の創設について
吹田市には、社会福祉協議会のボランティアセンターや国際交流協会などのように、既に活動分野を限定した市民活動の支援機関が複数存在する。
しかし、アンケート調査では市民活動団体は複数の分野にまたがって活動している団体が多いことがわかり、また従来、支援機関では想定していなかった有償活動団体や専従スタッフを抱えたNPOも複数、生まれてきている。実際、特に法人格取得志向の市民活動団体の中には、既存の支援機関とほとんど関わりをもっていないものも少なくなかった。
そこで既存の支援機関も、職員の研修などで資質向上を図り、市民活動の新たな動きに対応して事業内容を刷新していくなどの努力が必要であるが、これに加えて、こうした状況に対応するためには、新たに活動分野に関係なく市民活動団体を総合的にサポートする機関 ―「市民活動サポートセンター」(仮称)― の創設が必要だと考えられる。新たに市民活動支援機関を創設することによって、既存の支援機関との連携が図られ、また適度な競争が生まれることにより、市民サービスの向上も期待される。
この場合、行政が関与する形態としては、「官設官営」(開設費、運営資金に加え、スタッフも公務員が担当する形態)、「官設民営」(開設費や運営資金の全部ないし一部を行政資金でまかなうが、運営・管理にあたっては民間団体への委託や市民参加の運営委員会に任せる形態)、市民が自主的に創設した「民設民営」の支援機関に行政が補助や事業委託を行うなどの形態が考えられる。
ここで「官設官営」形態の一つには、既にある吹田市の「市民協働ふれあい室」の機能を強化し、実質的に市民活動を総合的にサポートする機能を持たせるという方向も考えられる。というのも「官設民営」方式で新たに市民活動の拠点を作っても、その施設の管理を既存の市民活動団体が行うことになれば、市民活動団体のスタッフにかなりの負担が生じる。そこで、このような管理業務の発生を避け、総合サポート機能を行政の担当部局が担うことで対応すべきだというのが、この考え方である。この場合、市民活動に関する情報は、市民活動団体で「連絡会」的なものを創設し、そこで共有した情報を行政に伝えるということも考えられる。
しかし、市民活動サポートセンターにコーディネーションやコンサルテーションの機能も期待する場合、このような形態では限界があると考えられる。というのも、行政職員は「全体の奉仕者」としての幅広い視野が必要であるため、一般に特定の部局だけを担当する人事政策はとられない。そうすると「官設官営」方式では担当職員の専門性に多くを期待することは難しくなり、上記の相談・調整機能が低いレベルにとどまってしまう可能性が高いからである。
この問題を解決するためには、「官設民営」方式をとるとともに、その運営を既存の市民活動団体スタッフに頼るのではなく、新たに市民活動を支援する市民活動団体を育成することが必要になる。市民活動の促進にあたっては、市民活動に取り組む立場だけでなく、市民活動を支援しようとする市民や企業などの立場も理解することが必要であり、この点での専門性を有しコーディネーションができる人材を確保する必要があるわけである。
また夜間開館ができる態勢とするため、複数の職員配置が必要である。
もちろんこの場合も、「市民が自ら運営する」サポートセンターとするため、センターの運営委員会には、吹田市内で活動する市民活動団体の代表が多数参加し、市民活動団体の声が反映されるシステムを整備しなければならない。要はセンターの事務局に、市民活動を支援する専門スタッフを確保し配置することが必要なのである。
また地域に密着した活動の多い市民活動の特性を考えると、市内一か所に中央センターを設けるだけでなく、地域に分館を設ける必要がある。

(4)市民活動に関する情報提供や行政情報の公開について
特に積極的に外部からの支援を受けようとする市民活動団体の場合、活動情報を公開することで、支援を受けやすくなる仕組みの創設が必要である。具体的には、ボランティアなどの支援者募集を行うには、規約や活動実績、収支予算・決算などを公開する仕組みが考えられる。なお、この情報提供にあたっては、「市報」等を積極的に活用し、市民活動団体の情報発信の場とすることも考えられる。
なお、行政も、元来、行政情報は市民共有の財産であるとの認識に立ち、個人情報保護の原則を守りつつ、市民との情報共有化に向けたシステムを整備することが必要である。

(5)市民活動団体と企業などの連携・交流について
市民活動団体と企業の連携においては、すぐに資金的な支援要請ということになるが、これでは対等なパートナーシップとは言いがたい。企業の開発するバリアフリー商品の設計にNPOがタイアップすることや、そうして開発された企業の商品の普及をNPOとしても応援するといった「協働」の方法も模索されるべきであろう。
また、ボランティア休暇(休職)の活用に加えて、企業人を市民活動団体の役職員に出向させる仕組みや、退職者を採用する仕組みを整備するといったことも考えられる。特にボランティア休暇(休職)制度については、制度はあっても活用が少ないということが多い。休暇制度だけでなく、市民活動に関する情報が企業内で紹介されるなどの取り組みが並行してなされなければならない。


 

 

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