平成30年12月号市報すいた 市長コラム「ノックの音が…」

ページ番号1013102  更新日 2022年9月21日

この職に就いて、思いを広く伝えることの幸せと責任を感じます。日頃、ご挨拶で話す言葉や、この「こもれび通り」は、果たしてどのようにみなさんの心に届いているのでしょうか。

中学生の私は、星新一のショートショートに夢中になり、ほぼ全ての作品を読みました。シンプルな文体でつづられた短い物語に想像が広がり、ページをめくりたい気持ちを押さえながら、ゆっくりと星ワールドを味わった覚えがあります。

盆栽の「凝縮の美」、書の「余白の表現」、余計な装飾のない茶室、たった17文字で余韻を残す俳句。これらの伝統文化にも通じるような、飾らず語りつくすことなく本質を伝える文章に、今も憧れています。

「行間を読みなさい。そして行間で語れるようになりなさい」と、尊敬する上司から言われたことがあります。おしゃべりな私への忠告だったのでしょうが、未だに「行間で語る」境地には到達できません。

「こもれび通り」を始めて、40回を超えました。まだまだ未熟な文章力ですが、一人でも多くの人の心をノックすることができれば、と思いながら書いています。さて、今夜は久しぶりに星新一の世界を訪れてみましょう。

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